なぜユナイテッドはカゼミロの獲得で成功したのか?必要だった“6番”のポジションと限界点の引き上げ。
必要とされていたピースだった。
マンチェスター・ユナイテッドは現在、プレミアリーグで暫定3位に位置している。先日のカラバオ・カップ決勝では、ニューカッスルを破り、優勝を飾った。5シーズンに渡り無冠が続いていたユナイテッドだが、その不名誉なレコードを打ち破っている。
ユナイテッドは好調を維持している。その要因のひとつは、カゼミロの加入だ。
ユナイテッドは今夏、移籍金7000万ユーロ(約98億円)を支払い、レアル・マドリーからカゼミロを獲得した。「僕のレアル・マドリーでのサイクルは終わったと感じていた。新たなクラブでの新しいチャレンジ、異なる国や文化といったものを必要としていた」というカゼミロを、ユナイテッドが引き抜いた。
今季開幕前にエリック・テン・ハーグ新監督を招聘していたユナイテッドであるが、シーズン序盤戦で苦しんでいた。カゼミロの加入前、プレミアリーグでの順位は19位だった。
「我々は『6番』のポジションの選手を必要としていた。守備的なMFだ。シーズンがスタートする前に、そのような分析を行っていた。そして、それに見合う完璧な選手を連れてくることができた」とはテン・ハーグ監督の弁だ。
「カゼミロが、マンチェスター・ユナイテッドの限界点を引き上げてくれている。彼が下地の部分でセメントを固めるような作業をしてくれる。チームに規律を与え、予測し、ボールを奪取して、デュエルで勝ち、攻撃のスピードを上げてくれる。彼のような違いをつくれる選手がチームにいてくれることを非常に喜んでいる」
■カゼミロの重要な役割
ユナイテッドは【4−2−3−1】と【4−3−3】を使い分けながら戦っている。
その中で、カゼミロの役割は重要だ。クリスティアン・エリクセン、ブルーノ・フェルナンデス、フレッジ、スコット・マクトミネイらと中盤でコンビあるいはトリオを組んで、チームに安定感をもたらしている。
「カゼミロが加入した時、彼はもっとポジショナルなMFだと思われていた。しかし、実際は守備が良いだけではなく素晴らしいパスを出せてゴールまで決められる選手だった」と語るのはユナイテッドのレジェンドであるロイ・キーン氏だ。
「近年、チームに足りなかったのは、中盤でパーソナリティを持って存在感を見せられる選手だった。ユナイテッドはカゼミロを必要としていた。素晴らしい補強だったと思う」
ロイ・キーンは1993年から2005年までユナイテッドに在籍した。その間、中盤で躍動して、まさに“闘将”としてユナイテッドの黄金時代を支えた。
そのレジェンドのお墨付きを得て、カゼミロはユナイテッドで好パフォーマンスを披露している。5シーズンぶりのタイトル獲得では、留まらない。名門の再建への道が、開かれている。