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「え?」 コンビニでひときわ異彩を放つ最新カップ麺「え?」はどんな商品なのか?

井手隊長ラーメンライター/ミュージシャン
コンビニのカップ麺売り場でひときわ異彩を放つ「え?」

コンビニのカップ麺売り場で、先週からひときわ異彩を放つ商品が並び始めていて気になっていた。

パッケージに大きな明朝体の文字で「え?」と書かれた商品だ。金色に輝くパッケージに「え?」の文字、店頭で見て気になっている人も多いだろう。

この商品は明星食品から発売されたカップ麺「明星 麺とスープだけ え? 透明スープの豚骨!?」である。2023年8月21日から全国発売されている。今回はこの商品を詳しくレビューしていきたい。

麺とスープのみのシンプルな一杯

明星 麺とスープだけ え? 透明スープの豚骨!?
明星 麺とスープだけ え? 透明スープの豚骨!?

「明星 麺とスープだけ」シリーズは、麺とスープだけで勝負する特別な一杯で、究極のかけラーメンを目指して作ったカップ麺シリーズ。本商品はそのシリーズ第5弾だ。

3袋とも後入れ
3袋とも後入れ

フタを開けると麺の上に小袋が3つ。

粉末スープ、液体スープ、カメリアラードの3種類だ。3袋とも後入れで、何も入れずにお湯を注ぐのは珍しい。

このカメリアラードがこの商品のポイントなのだが、こちらについては後述したい。

熱湯1分

湯戻し時間1分の極細ノンフライ麺
湯戻し時間1分の極細ノンフライ麺

最近、ノンフライ麺の技術革新により、本格カップ麺の湯戻し時間は4~5分がスタンダードになってきているが、この商品はそれに逆行して1分とかなり短い。博多豚骨ラーメンなどに合わせる豚骨専用の極細のノンフライ麺を採用している。

国産黒豚を使用した豚清湯スープ

透明度の高い豚清湯スープ
透明度の高い豚清湯スープ

お湯を入れて1分待ってフタを開けたら、粉末スープ、液体スープを注ぐ。

豚の旨味が詰まった粉末スープに、透き通ってはいるが豚骨臭が漂う液体スープ。この2袋を入れてもスープが白濁しない。いわゆる“豚清湯”といわれる方向性のスープである。

液体スープにはコクと甘みの強い国産黒豚のエキスを使用しており、使用しているポークエキス中77.7%が国産黒豚という贅沢なスープになっている。

最高級ラードであるカメリアラード100%使用

カメリアラードがパックで付いてくる商品は実に珍しい
カメリアラードがパックで付いてくる商品は実に珍しい

そして何といってもこの商品の目玉は「カメリアラード」だ。

カメリアラードはオランダ産の最高級ラードで、ラーメン店だけでなく、世界中の一流レストランで使われる一級品だ。「永福町大勝軒」などラーメン店でも古くから使うこだわりのお店が多く、町中華では少し高級店が使う傾向にある。通常のラードより豚の甘みやコク、香りが強く、ラードの存在感が強まるのが特徴だ。

カメリアラードを注ぐとスープの表面がアツアツに。豚の香りも広がる
カメリアラードを注ぐとスープの表面がアツアツに。豚の香りも広がる

カップ麺の値段感ではとても使うのは厳しいカメリアラードを思い切って100%使うというのは、「麺とスープだけ」というこのシリーズならではだ。

表面が最後までアツアツで、極細の麺に豚のスープがしっかり絡んで持ち上がる。

ネオノスなカップ麺

成分表。ノスタルジックな作りでカロリーも424kcalと決して高くない
成分表。ノスタルジックな作りでカロリーも424kcalと決して高くない

本商品は「透明な豚骨ラーメン」という打ち出しをしているが、濁りのない豚骨スープにカメリアラードを合わせるこの手法は伝統的な日本のラーメンに通ずるものがある。

ある意味、町中華で提供されてきたような素朴なラーメンに近いところがあるが、製法や味を磨き上げることで高級感を演出して完成された一杯であるように思える。

“ネオノス”と呼ばれる、昭和から続くノスタルジックなラーメンを今風にアレンジしたラーメンがブームを作る中、この商品もネオノスなカップ麺を狙って作られたものといっていいだろう。

昔からのラーメンファンには町中華を彷彿とさせる味わいだが、若い客層には金色のパッケージで高級感を訴求する。実に今っぽい商品であるといえる。

ブームは時代とともに一回りしていく。ネオノスブームの中で打ち出された非常にわかりやすい一杯と言えるだろう。

※写真は筆者による撮影

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ラーメンライター/ミュージシャン

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。東洋経済オンライン、AERA dot.など連載のほか、テレビ番組出演・監修、コンテスト審査員、イベントMCなどで活躍中。 自身のインターネット番組、ブログ、Twitter、Facebookなどでも定期的にラーメン情報を発信。ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。本の要約サービス フライヤー 執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。

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