選抜は開幕から好カード。21世紀枠の氷見は躍進なるか
開会式には全員が参加し、スタンドからはマスクなしの声援が送られる。18日の選抜開幕は球児が待ちに待った本当の球春到来となりそうだ。
今年も注目選手には投打に逸材が揃う。連覇を狙う大阪桐蔭の左腕エース・前田悠伍、広陵のボンズことスラッガー・真鍋慧は実力もネームバリューも文句なし。昨夏の甲子園を制した仙台育英はその原動力となった投手陣の高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔が健在で球威も球質もさらに強力になっているに違いない。チーム打率.407の沖縄尚学打線を牽引する知花慎之助や速球派右腕の専大松戸の平野大地、東邦の宮國凌空らも甲子園でのパフォーマンスと勝ち上がり次第では大きく人生を変える可能性を秘めている。
そんな超高校級の選手がいなくとも注目したいのが21世紀枠に選ばれた氷見だ。部員数17人ながら昨秋の富山大会で優勝を果たし、内容面も期待を抱かせるチーム成績を残している。
21世紀枠らしからぬ攻撃型のチームでストライクゾーン管理に秀でる
これまで21世紀枠に選ばれたのは好投手を中心に失点を抑え、ロースコアの展開を拾うというチームが多かった。人数や環境面でハンデを抱えるチームはどうしてもそうした戦い方にならざるを得ない。しかし氷見のチーム打率は3割を超え、1試合平均9.71得点は出場36校中2位の好成績。犠打飛は2.43個と平均的で、この点でもとりあえず得点圏に送れば何か起こるかもしれないという戦い方をしていないことがわかる。さらに特筆すべきは三振16個に対して四死球45個(公表されたデータが四球と死球を分けていないため全て四球扱い)の選球眼。チーム成績で四死球数が三振数を上回ればストライクゾーン管理に長けたチームだと言える。2倍ともなればかなり優秀だが氷見はほぼ3倍の四死球をもぎ取っている。このしぶとさは強豪私学にとってかなり不気味だ。
三振の奪える技巧派左腕が開幕試合に登場
東北の技巧派左腕・秋本羚冴の個人成績からは抜群の安定感が見てとれる。30回1/3を投げて防御率0.00。昨秋は自責点も失点も0だった。与四死球4と制球力に優れ、球速で勝負するタイプではないにもかかわらず奪った三振は投球回とほぼ同じ29個。奪三振率8.60は第7位の好成績で仙台育英の高橋さえも上回る。与四死球4、奪三振29という割合はもちろん素晴らしく1つ四球を与える間にいくつ三振を奪ったかを示すBB/Kは7.25。優秀さの目安は3.5以上とされている指標で倍以上の好数値を記録した。もちろん出場選手の中でナンバーワンだ。
東北は開幕試合に登場し、相手は関東王者の山梨学院。こちらも言わずと知れた強豪で春夏連続出場を果たした旧チームからメンバーが残り投打にレベルは高い。この試合の勝者が2回戦で氷見と対戦する。どちらが勝ち上がっても中身の濃いゲームが期待出来そう。大会6日目第2試合は隠れた好カードだ。