元「ブルゾンちえみ」藤原しおりが勇気を出して声を上げたこと―アマゾン大炎上と肉を食べるということ
昨年夏、世界中が悲しみ、また憤ったアマゾン熱帯雨林の大規模火災。日本のメディアはほとんど報道することもなく、人々の注目を集めることもないが、環境を軽視する「ブラジルのトランプ」ことボルソナロ大統領の下、今年もアマゾン熱帯雨林で大規模な火災が発生しており、しかも、それは過去最悪のペースだというのだ。ブラジル国立宇宙研究所によれば、今年の1月~8月の間で東京都15個分の面積が焼失してしまったという。そんな中、アマゾンの危機に対し私達ができることをやろうと声を上げたのが、「ブルゾンちえみ」として知られ、現在は本名で活動しているタレントの藤原しおりさんだ。
○動画でアマゾン危機を訴える
本日正午に、環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」が公開した動画に、藤原さんが登場。「アマゾンの森林火災は昨年より20%も増加しています」「アマゾンの熱帯雨林の5分の1が既に破壊されています」と危機的な状況を訴えている。
どうしてこのようなことが起きているのか。藤原さんは動画の中で「アマゾンの森林火災は自然災害ではありません」「その大きな要因にお肉の生産があります」と指摘する。「お肉を生産するにはたくさんの土地が必要です。牛や豚を放牧する場所を確保したり、大豆などのエサも育てる必要があるからです。その土地を作るためにアマゾンの森に火が放たれ、切り開かれ、更地にされています」。
藤原さんは「アマゾンの火災の問題は森が破壊されることだけではありません」とも言う。「森が破壊されると土の中に蓄えられていた大量の炭素が空気中に放出されます。温暖化を加速させる二酸化炭素です」「(アマゾン熱帯雨林など森林を破壊してつくられた牧場の)牛などのゲップからは、二酸化炭素よりもっと温暖化を加速させるメタンガスが放出されます。車や飛行機、電車や船などの全ての交通と同じくらいの温室効果ガスがこうした工業型農業から出ているんです」「7月の豪雨や勢いを増す台風のように私達の生活はすでに気候変動によって脅かされています」。
【動画】深刻なアマゾン熱帯雨林の大規模火災(フランス24)
○私達ができることは?
アマゾンの熱帯雨林を守るため、私達に何ができるか。藤原さんは2つのことを動画の中で訴えている。まず、肉を食べる量を減らすこと。日本人は週平均で600グラムの肉を食べているが、それを300グラムに半減させれば、「地球が持続可能な量」になると言う。もう一つは、ブラジル政府に対し、アマゾンの森を切り売りせず、逆に森を回復させるよう、署名などで伝えることだ。
動画の中で藤原さんは、昨年の夏、初めて自身のSNSで地球温暖化について意見表明した時を「実は少し勇気が必要でした。でも、投稿にはたくさんの共感の声が集まって、ああ、みんな気になってたんだな、みんなも何かしたいと思っていたんだなということがわかりました」と振り返り、動画の締めくくりで「勇気を出して声を届けてみませんか」と呼びかけた。
農水省によれば、家畜飼料となる大豆の内、日本が輸入しているブラジル産のものは年間56万トン、米国産に次いで第2位だ(2018年実績)。また、在ブラジル日本大使館によれば、ブラジルの対日輸出の内、「鶏肉」は19%と、「鉄鉱石」に次いで多い(2019年実績)。藤原さんが言うように、日本の人々にとっても、アマゾン熱帯雨林の危機は他人事ではない。
○みんなの『ちょっと』が集まれば大きな力に
藤原さんは、動画に込めた思いを以下のように語っている。
「人はきっと、生きてるだけでなんらかのダメージを地球に与えてる。そのダメージを『ゼロにすること』は無理だけど『小さくすること』は出来るんじゃないかなって思ってます。みんなの『ちょっと』が集まれば大きな力になる。自分にできることを、ちょっとずつ、一緒にやっていきませんか?」(藤原さんのメッセージより)。
地球環境の危機がかつてないほど深刻となり、人類の存亡すらも危ぶまれている中で、私達一人一人が意識を変え行動していくことは、やはり必要なのであろう。
(了)