昨年の二の舞か?大阪桐蔭、最悪の日程運! 夏の甲子園の組み合わせ決定
3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭は5日目の登場で、昨年同様、日程運に恵まれなかった。一方、ライバル一番手と目される昨夏の覇者・智弁和歌山は49校中、最後の登場となり、開幕戦の勝者と当たる。こちらは昨年に続き1回戦がなく、日程運に恵まれた。明暗を分けた「両横綱」の直接対決は実現するか。
コロナ禍4校に配慮して抽選
抽選を目前にして、全校対象のPCR検査の結果、有田工(佐賀)、浜田(島根)、帝京五(愛媛)、九州学院(熊本)の4校に、集団感染が判明。4校は開会式を欠席し、初戦を大きく遅らせて8日目の登場になるよう配慮した。2回戦から3回戦にかけての日程が変更になっているが、今後、集団感染が疑われる事例が発生した場合は、辞退→不戦敗もやむなしということになる。
大阪桐蔭は昨年と全く同じところに入る
優勝候補筆頭の大阪桐蔭は、5日目の第1試合という昨年と全く同じところに入り、旭川大高(北北海道)と当たる。5日目の1、2試合目は勝ち進むと終盤に試合が立て込むため、日程的には最も苦しい。昨年も、終盤戦を見据えてエースを温存し、近江(滋賀)に2回戦で逆転負けした。昨年と比べれば、大阪桐蔭投手陣のレベルは総じて高く、先発投手が不振でも代えやすいとは言えるが、西谷浩一監督(52)のやりくりやいかに。ここからは8つに分けたブロックごとに展望したい。
センバツ出場の日大三島が開幕戦に
開幕戦は日大三島(静岡)と国学院栃木の対戦。夏に関して言えば両校とも30年以上のブランクがあるが、特に日大三島は春夏連続出場で、今春は初戦敗退。エースで4番の松永陽登(3年)の頑張りが勝利へのカギを握る。勝てば智弁和歌山と当たるが、お互い勢いに乗りたいところだ。このブロックは、九州学院と帝京五(8日目の2回戦から登場)とともに、5校で8強入りを争う。試合順はあとになるが、九州学院にはスーパースラッガー・村上宗隆(ヤクルト=22)の弟・慶太(3年)がいる。
好カード揃うブロック、京都国際は森下復活
初日の第2試合では、常連の明豊(大分)が、30年ぶりの樹徳(群馬)と対戦。多彩な投手陣の明豊に、樹徳のエース・亀井颯玖(3年)がいかに対抗するか。第3試合には、センバツをコロナ禍で辞退した京都国際が登場し、一関学院(岩手)と当たる。京都国際は昨夏4強の原動力となったエース・森下瑠大(3年)の復調が心強い。2日目の第1試合は八戸学院光星(青森)と創志学園(岡山)が対戦する好カード。創志は、今夏限りで退任する長澤宏行監督(69)の花道を飾りたい。愛工大名電(愛知)と星稜(石川)も好カード。センバツ8強の星稜が経験値でやや有利か。このブロックは京都国際と星稜が経験値でリード。明豊と名電も潜在能力が高く、強豪ひしめく激戦ブロックとなった。
近江・山田と鳴門・冨田の好投手対決
2日目の第3試合は鶴岡東(山形)と盈進(広島)の対戦。盈進は得意の継投策で48年ぶりの白星を手にしたい。近江(滋賀)と鳴門(徳島)は屈指の好カード。近江の右腕・山田陽翔(3年=主将)と鳴門の左腕・冨田遼弥(3年)は全国でもトップクラスの好投手。3点以内の好勝負になるだろう。続く3日目第1試合では、海星(長崎)が、今大会最速の150キロを投げる右腕・田中晴也(3年)の日本文理(新潟)と。天理(奈良)の南澤佑音(3年)は県大会無失点で、強打の山梨学院と第2試合で激突する。ここの4カードは全て熱戦が期待できるが、近江と天理の近畿勢が軸にはなるだろう。
甲子園優勝経験校5校の豪華ブロック
3日目第3試合の敦賀気比(福井)と高岡商(富山)は北信越同士。気比の上加世田頼希(3年)は甲子園経験十分だ。第4試合には興南(沖縄)が登場し、市船橋(千葉)とぶつかる。市船橋の森本ツインズ(哲星、哲太=3年)はエースと中軸で、活躍が期待される。4日目に入ると、2年連続出場で、ともに甲子園優勝経験のある三重と横浜(神奈川)が第1試合で当たる。横浜は左腕・杉山遥希(2年)、1番・緒方漣(2年)らの成長が楽しみ。同じく優勝経験のある日大三(西東京)は、センバツ16強の聖光学院(福島)と。聖光の佐山未来(3年)は好投手で、日大三の強力打線がどう攻略するか。このブロックは甲子園優勝経験校が5校という豪華な顔ぶれになった。
大阪桐蔭を脅かすチームは?
4日目は東京勢が相次いで登場し、第3試合では常連の二松学舎大付(東東京)が、夏初出場の札幌大谷(南北海道)と。札幌大谷は中学硬式からのチームメイトも多く、一丸感がある。伝統の県岐阜商は第4試合で、夏初出場の社(兵庫)の挑戦を受ける。社はエース・芝本琳平(3年)を軸に堅守が持ち味の好チームだ。そのあと5日目に入り、大阪桐蔭が登場して旭川大高と初戦を行う。第2試合は聖望学園(埼玉)と能代松陽(秋田)の対戦。聖望はセンバツ4強の浦和学院を破った実力を発揮できるか。このブロックは大阪桐蔭が群を抜いているが、王者を脅かすチームの出現に期待したい。
強打の明秀、仙台育英は必勝パターン
ここからは2勝で8強のブロック。日程運に最も恵まれた5日目の第3試合は、鹿児島実と春夏連続出場の明秀日立(茨城)が対戦。鹿実の左腕・赤崎智哉(3年)が強打の明秀を抑えたい。6日目に入り、仙台育英(宮城)が鳥取商と第1試合で。仙台育英はエース左腕・古川翼(3年)につなぐ必勝パターンを持つ。この4校では、仙台育英の安定感と明秀の投打のバランスの良さが目を引く。
強豪、名門、強打者など少数精鋭ブロック
6日目第2試合は、高松商(香川)と佐久長聖(長野)の対戦で、高松商の強打・浅野翔吾(3年=主将)のバットに注目。2年連続聖地でのアーチを狙う。第3試合は好カードで、明徳義塾(高知)と九州国際大付(福岡)は接戦が予想される。野田海人(3年=主将)、佐倉侠史朗(2年)らの強打と、明徳の技巧派左腕・吉村優聖歩(3年)との対決は見ものだ。この4校では、九州国際大付の総合力が高いが、巧者の明徳や名門・高松商、常連の長聖もいて、少数精鋭の激戦になりそう。
経験豊富な下関国際に挑む富島の日高
6日目の第4試合は、下関国際(山口)と富島(宮崎)の対戦。富島のエース・日高暖己(3年)は変化球もいい好投手だが、昨春センバツ経験者を多く擁する下関国際打線を封じられるか。コロナ禍に配慮し、8日目に繰り下げられた有田工と浜田の勝者と4強入りを争う。有田工はセンバツでも力投した塚本侑弥(3年)の右腕に期待したい。
日程運も優勝への条件に
有力校で最も日程運に恵まれた智弁和歌山は、昨夏も不戦勝があって、4回勝って優勝した。勝ち進んで大阪桐蔭と当たるとすれば、確実に1試合少ない。これは相当、有利だ。大阪桐蔭も不戦勝があった今春は1試合少なく、大会の終盤戦は相手校を圧倒した。対戦相手もさることながら、試合の日程は優勝への追い風にもなる。しかし、不測の事態も考えられる今大会はまず、全校が全力で戦えるように願うばかりだ。