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ノルウェーで世界記録 新車の約半分が電気自動車EVに

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
オスロ郊外でゴミ処理場を視察した時、駐車場には職員用にEV充電スタンドが

税金控除、無料の駐車場、タクシー・バスレーンの優先使用許可……。

政府や自治体による様々な優遇策により、電気自動車EVの普及において「EV先進国」となっているノルウェー。

9月、1万620台の新車販売におけるEVの割合が45,3%と、ノルウェーと世界新記録を同時に塗り替えた。

「ほとんど新車といっていい中古輸入EV」の割合は、47,7%に。

この数字に、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)と ハイブリッド(HV)は含まれていない(ノルウェーでの統計は、EVとハイブリッド車を、別のものとしてカウントするのが一般的)。

人気はテスラ

ノルウェー道路交通情報局によると、最も売れたのはテスラ モデルX (1234台)と、日産リーフ(1071台)。それにテスラ モデルS(782台)と、BMW i3(458台)が続く。

車からのCO2排出量も減少

結果、CO2排出量も、55 g/kmと最も低い数値を記録した(昨年9月と比較して、16 g/km減少)。

対して、ハイブリッド車を含むガソリン車のCO2排出量は93 g/km(昨年9月と比較して3 g/km増加)、ディーゼル車は132 g/km(4 g/km増加)。

ディーゼル、ガソリン、ハイブリッド車は減少

今年9月の新車販売で、ディーゼル車は12,4%(昨年9月は18%)、ガソリン車は16,1%(昨年は22%)。

個人所有のハイブリッド車の割合は26,2%と、昨年の34,4%から減少した。

結果、9月の新車販売数のうち4810台が、ゼロエミッション車となる(8台が水素自動車、残りはEV)。

水素自動車の割合はまだまだ少ないが、水素自動車連盟は普及に熱心だ。先日オスロ・イノベーション・ウィークでの環境対策の取材にて Photo:Asaki Abumi
水素自動車の割合はまだまだ少ないが、水素自動車連盟は普及に熱心だ。先日オスロ・イノベーション・ウィークでの環境対策の取材にて Photo:Asaki Abumi

ゼロエミッション車となる中古輸入車は、昨年9月と比較して、199台増加、1252台を記録した。

2025年にはすべての新車をゼロエミッション車にしたい

ノルウェー政府は、2025年にはすべての新車をゼロエミッション車とする目標を立てている。

「ノルウェーが、ディーゼルやガソリン車の新車販売を、2025年には禁止する」という誤報が、以前世界中でニュースとなった。

正しくは「禁止」ではなく、新車は全てゼロエミッション車であってほしいという「目標」

EVバロメーター調査によると、ノルウェー人はEVへの切り替えに準備はできている。

一方で、44%の回答者が、「2025年目標までに必要なことを、政治家はできないだろう」とも考えており、政治家は口だけだとも思われている傾向がある。

「EV運転者が十分に増えると、優遇策がなくなるのでは」という懸念も、ノルウェーでは以前から漂っている。

ノルウェーでのゼロエミッション車の完全普及のためには、引き続き、政治家からの積極的な支援が必要とされている。

「気候変動問題に取り組もうとするなら、私たち運転者への支援をやめないで」。EV市場の取材を続けていると、市民から政府への要望が強く伝わってくる。

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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