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いまさら聞けない日本代表秋の見どころ。坂手淳史主将は「基礎を作る」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今年から代表の主将となった坂手(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は、10月1日からJAPAN XV名義で対オーストラリアA・3連戦に臨んでいる。

 8日まで2連敗中。その事実には現場も、ファンも悔しがる。ただ、本当の見どころは星取表以外のところにあるような。

 今度のシリーズを前に、坂手淳史主将が共同会見に登壇。チームの現在地を語っている。いまは「ベースキャンプ」の只中にあると話していた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——新スローガンはOURTEAM。

「ひとりひとりが責任を果たさないといけない。責任を果たすメンバーが集まって、ひとつのチームになる。自分たちのチームという当事者意識を持つという意味もあります。できたばかりのスローガンです。ラグビーのスタイル、準備の仕方など、色んな形で意味を付け足したいと思います」

——対オーストラリアA・3連戦のテーマは。

「いま日本代表のなかで『ベースキャンプ』という話をしています。本番のワールドカップフランス大会(2023年秋)へ毎試合、毎試合、毎週、毎週、毎日、毎日、テスト繰り返すイメージ。それを積み上げて、自分たちの今後に繋がるシリーズにしたいと思っています。

本番に向かって山を登っていくなか、基礎を作るということをやっています。これまでのシリーズも基礎作りでしたが、今回は、本番で結果を出すために一番、必要になってくる。いまやっていることは重要。自分たちのラグビーの基礎、体力の基礎について(練習と確認作業を)しています」

 現体制のジャパンは、2019年のワールドカップ日本大会での8強入りに向けても試練を乗り越えてきた。

 首脳陣と選手の意思を共有できたのは、大会1年前にあたる18年9月の候補合宿。その季節のテストマッチではニュージーランド代表、イングランド代表に敗れたが、複数の選手が自信を深めたと言われる。

 大会1年前の秋に「基礎」を作るのは、パンデミックを乗り越えて迎えた今回も同じか。

 現日本代表は当時に引き続き、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが指揮。日本大会時の主力を軸に据えながら、21歳の李承信ら若手も輪に加える。

 トニー・ブラウンアシスタントコーチは陣地獲得とボール保持のバランスを調整しながら、攻撃戦術を随時、アップデート。フェーズごとの陣形の変わりようが興味を引く。

 長谷川慎アシスタントコーチも、持ち場のスクラムで独自のシステムを落とし込む。元イングランド代表のジョン・ミッチェルアシスタントコーチは、防御を担当。鋭い出足での「ダブルコリジョン」を繰り返すよう説く。

 いまのシリーズで注目されるべきは、それらのスタイルの遂行度合い、もしくは改善点のありかなどであろう。坂手は「まずは結果を出さないといけない」と話すと同時に、「準備したものを遂行したい」とも続ける。

——「基礎」。何か達成目標などはあるのでしょうか。

「フィジカル的な数値ももちろん重要ですが、ジョン・ミッチェルと一緒にディフェンス、ブラウニー(ブラウン)のアタックなど、新しくなったり、レベルが上がったりするものの『ベース』というのが、大事になってきます。僕たちの日本のラグビーをどうしていくかという『ベース』を作っている段階です」

 シリーズ3戦目は14日、大阪・ヨドコウ桜スタジアムでおこなわれる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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