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WBCプエルトリコの守護神ディアスは今季絶望か? チームは逆境にめげず団結を強化

三浦勝夫ボクシング・ビート米国通信員
チームメイトに担がれて退場するディアス(写真:Rally Sports)

悪夢の歓喜のジャンプ

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次リーグD組で優勝候補のドミニカ共和国を5-2で破り、同組2位で準々決勝進出を決めたプエルトリコ代表。試合直後の歓喜の渦の中、守護神エドウィン・ディアス(ニューヨーク・メッツ)が右ヒザを負傷。車椅子でグラウンドを後にするアクシデントが発生した。

 “死のグループ”と呼ばれ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコとカリブ海に位置するラテンアメリカの野球強国3つがしのぎを削ったリーグ戦を勝ち抜いたプエルトリコ。好事魔多し――とはまさにこのことだろう。17日マイアミで行われるメキシコとの準々決勝。そして次に見据える日本との準決勝に暗雲が立ち込めている。

 プエルトリコからの情報でディアス(28歳)は右ヒザ蓋(ふた)腱の裂傷と診断された。16日、MRI検査が行われ、腱が完全に切れているという。早ければ同日に手術が実施されるという。全治8ヵ月と言われ、WBCはもちろん、今シーズン、メッツのクローザーとして登板することも難しいという見方がされる。ディアスはメッツと1億200万ドル(約137億円)の大型契約(5年)を結んだばかりである。

 「チーム・ルビオ」と呼ばれるプエルトリコ代表ではディアスの弟で救援投手のアレクシス・ディアス(シンシナティ・レッズ)もメンバーに名を連ねている。皮肉にもディアス兄弟が初めて“共演”した日に兄の悲劇が起こってしまった。

 ちなみにプエルトリコでは16日の午後7時から10時30分までドミニカ共和国戦が中継され、37.5パーセント(ニールセン・リサーチ調べ)と高い視聴率をマークした。

逆にモチベーションがマックスに

 “シュガー”のニックネームを持つディアスの離脱に気勢をそがれたチーム・ルビオだが、現地紙「プリメーラ・オラ」はアクシデントを逆にポジティブに捉え、チームは一致団結していると伝えている。

 代表では二塁手でプレーするハビエル・バエス(デトロイト・タイガース)は「シュガーの離脱で、よりハートを誇示して肝っ玉を発揮して戦える。彼はチームにいないけど俺たちのモチベーションはより高まっている。ロッカールームはシュガーのために勝とう!とモチベーションがマックスに達している」と語る。

 またレシーバーのフェルナンド・クルス(シンシナティ・レッズ)も「我々はベストを尽くすしかない。我々は素晴らしいブルペン陣が控えている。今回の打撃は大きいけど、これをリバウンドにしてヤル気を出したい」とコメント。ドミニカ共和国戦で先発投手を務めたクルスはリリーフあるいはクローザーの任務にも意欲を見せる。

実弟がカギを握る?

 一方、メジャーを代表する捕手からチーム・ルビオの監督を務めるヤディエル・モリーナ監督(40歳)は16日、メキシコ戦が行われるローン・デポ・パークでのトレーニングを終えた後「それぞれの選手は違うけど、我々はプロフェッショナルだ。グラウンドに入ったら100パーセント、プレーにつぎ込まなければいけない。アレクシスがやってくれると信じている。彼にとっても辛い夜だったけど、プロとしてスタンバイ状態であることを望む」と明かす。

 モリーナ監督はブルペンのキーパーソンの一人にディアスの弟の名前を挙げる。

実弟アレクシスの奮起に期待(写真:MLB.com.)
実弟アレクシスの奮起に期待(写真:MLB.com.)

 同紙によると、チームのゼネラルマネジャー、ジョーイ・ソラー氏はディアスの離脱に伴う補強に関して「木曜日(16日)に発表する」と通達。「もう頭に浮かんでいる。でも補充は必要ないと思う。チームには信頼できるリリーフ投手が4人いる。いずれもメジャーリーグで経験を積んでいる」(ソラー氏)

 その4人とはジョナサン・ベルムデス、ホセ・エスタバ、アレックス・クラウディオ、ルイス・キニョネスと同紙は伝える。調べてみると全員メジャーでプレーした経験があるようだが、現在メジャーに所属しているのはクラウディオ(メッツ)とベルムデス(サンフランシスコ・ジャイアンツ)で他の2人はマイナーリーグに所属する。

 メキシコ戦のオッズはアメリカ式の表記でメキシコが-130、プエルトリコが+121。およそ5-4でメキシコ有利というところか。他のブックメーカーもプエルトリコが+110。やはり守護神の欠場は痛い?

ボクシング・ビート米国通信員

岩手県奥州市出身。近所にアマチュアの名将、佐々木達彦氏が住んでいたためボクシングの魅力と凄さにハマる。上京後、学生時代から外国人の草サッカーチーム「スペインクラブ」でプレー。81年メキシコへ渡り現地レポートをボクシング・ビートの前身ワールドボクシングへ寄稿。90年代に入り拠点を米国カリフォルニアへ移し、フロイド・メイウェザー、ロイ・ジョーンズなどを取材。メジャーリーグもペドロ・マルティネス、アルバート・プホルスら主にラテン系選手をスポーツ紙向けにインタビュー。好物はカツ丼。愛読書は佐伯泰英氏の現代もの。

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