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ノート(219) 刑務所で最上位クラスの受刑者が暮らす特別な寮とは?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(12)

受刑253/384日目(続)

もう一つの寮

 刑務所には仮釈放者が釈放前の2週間だけすごす寮のほか、成績優秀で制限区分や優遇区分が最上位クラスの受刑者が生活する特別な寮もある。対象となるのは、仕切りのない応接室での面会が可能だったり、遠方の家族や雇用予定者らと電話で話をすることが認められているような受刑者だ。

 静岡刑務所の場合、前者の寮は「開花寮」、後者の寮は静岡県の県木「木犀(モクセイ)」が高く太く育つことにちなんで「もくせい寮」と名付けられていた。静岡県といえば、源頼朝が源氏再興を祈願した三嶋大社のキンモクセイが有名だ。樹齢1200年超で国指定の天然記念物にもなっている。

三嶋大社のキンモクセイ(筆者撮影)
三嶋大社のキンモクセイ(筆者撮影)

 この2つの寮は、いずれも5舎4階のフロアにあり、フロアの両端と2つの寮の間こそロックされた扉で隔てられてはいるが、居室が施錠されていないなど、「半開放」の処遇という点で共通している。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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