大みそかに85歳の男性が水深5センチの川で溺死…なぜ? #専門家のまとめ
大みそかの朝、鳥取市の市道沿いの川で自転車ごと倒れている85歳の男性が発見され、死亡が確認されました。前日の夜から行方不明になっていたもので、死因は溺水吸引による窒息でした。警察は川に転落したとみて、その経緯を捜査しています。もっとも、水深はわずか約5センチしかありませんでした。なぜそれでも溺死に至ったのか、浅い川や用水路などへの転落事故の危険性を含め、理解の参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
70~80代の高齢者が自転車を運転中に道路沿いの川や用水路、側溝、畑などに転落して死亡する事故が相次いでいます。街灯がなく、暗くて路面の見通しも悪い夜間に柵やガードレールが設置されていない場所で発生しており、死因は溺死や低体温症、転落に伴う外傷性くも膜下出血、頸髄損傷などです。
建設現場では「1メートルは一命取る」という労災防止のための標語があります。その程度の高さでも落ち方次第で命を落とす危険性があるので、油断してはならないという戒めです。今回のケースでは約2.5メートルの高さから自転車ごと川に転落したとされており、それだけでも死傷のリスクが高い事故でした。
しかも、うつ伏せで倒れて手首や腕などを負傷していると、たとえ水深が浅くても手をついて顔を起こすことができず、抜け出せずにそのまま溺死してしまいます。予算の関係で行政による柵やガードレールの設置なども追いついていない状況です。
高齢者がいる家庭では、夜間は自転車に乗らないようにし、やむを得ず乗る場合でもヘルメットを着用した上でライトをつけ、周囲の状況を十分に確認しながら安全運転に努めるように注意喚起しておく必要があります。(了)