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昔は日本代表で「辛いこともあった」。ワーナー・ディアンズの進歩。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サマーキャンペーンではテストマッチ(代表戦)3試合に先発(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は日本時間8月26日からパシフィック・ネーションズカップに参戦。初日はバンクーバーでカナダ代表と戦う。約9年ぶりに復職したエディー・ジョーンズヘッドコーチの現体制にとって、テストマッチ(代表戦)初勝利がかかる。

 8月10日から16日まで宮崎合宿を実施。11日にはトレーニングをメディアに公開し、主軸候補のワーナー・ディアンズが所感を述べた。

 6月6日からの宮崎合宿を皮切りに約2か月、続いたサマーキャンペーンでは、集団としてスピーディーに動く『超速ラグビー』を涵養。選手層増強のために大幅な若返りを図った結果、非テストマッチを含め1勝4敗とやや苦しんだ。

 ディアンズは身長201センチ、体重117キロの22歳。中学2年で来日し、流通経済大学柏高校から東芝ブレイブルーパス東京(現名称)に加わった2021年に19歳の若さで代表デビューを果たしている。昨秋はフランスでワールドカップに初出場。ヘッドコーチがジェイミー・ジョセフからジョーンズに代わった現代表でも、フォワード第2列のロックとして奮闘する。

 今年7月21日。北海道・札幌ドームでのキャンペーン最終戦で、イタリア代表に14―42と敗れた。つかの間のオフは故郷のニュージーランドに帰っていたが…。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——真冬のニュージーランドでオフを過ごし、帰ってきました。

「…まぁ、きついです」

——今回のキャンプのテーマは。

「前と同じで、『超速ラグビー』に自分をできるだけフィットさせて、チームに貢献できるようなパフォーマンスを出したいです」

——イタリア代表戦ではラインアウトの失敗に泣きました。ディアンズさんはコーラーと呼ばれるサイン選択の役目を担っています。ジョーンズさんは「(若い)ワーナーはコーラーとして学ぶところがある」と話していますが。

「(難しさは)まぁ、あります。イタリア代表戦は(チーム調べで)28 本のラインアウトがあった。コーチ陣にとってもそんなにラインアウトのある試合は初めて。そのなかでミスもあった」

——本数が増えるほど、サインの選択は難しくなるのですか。

「それと、皆、疲れてくるとクオリティも少し、落ちる」

——飛ぶ。支える。それらの質を保つアプローチも必要。

「そうですね。そういうトレーニングが、今日から始まった。あとは自分とほかのラインアウトリーダーとディシジョンメイキング(状況判断)について勉強する」

——このキャンプの序盤では、フォワードとバックスが分かれてトレーニング。各々の課題にフォーカスするためで、ディアンズさんらフォワードは肉弾戦での動きを繰り返し確認していました。ラックと呼ばれる、ボール保持者が倒れた状態の接点での留意点を特に。

「『超速ラグビー』をやるためにはラック周りをよくしないといけない」

 勢いよく、素早く球出しをすれば数的優位を生んで効果的なアタックができそうだ。

——今回は35歳のリーチマイケル選手が休養に回り、スコッドがサマーキャンペーン時よりさらに若返っています。ディアンズさんのリーダーシップにも期待がかかります。

「自分は自分のプレーでチームをリードしたいという感じですかね。自分のパフォーマンスをよくしてチームを引っ張るリーダーシップを(意識して)やりたいなと思います」

——最近、早稲田大学2年の矢崎由高選手をはじめ年下の選手が増えてきました。

「ちょっと面白いです。自分より若い人が増えてくると。ジェイミーの時はずっと一番、若くて、辛いこともあった。それまで経験したことがないレベルに触れているなか、コーチ陣はどうしても若い選手に期待してプレッシャーをかける。ジェイミーは『自分にポテンシャルがある』と言って、プレッシャーが強かった。エディーも厳しいですが、それを皆で助け合うという感じです」

 若くして後輩ができた心境を語る流れで、抜擢された当初の苦労を振り返ったディアンズ。引き続き献身を誓う。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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