【ワインの歴史】真珠を溶かして飲む人も!ローマ帝国ではどのようなワインを飲んでいたの?
ローマ帝国におけるワインの物語は、その壮大な文明と共に語られるべき歴史の一章です。
古代ローマ人にとって、ワインは単なる飲み物ではなく、生活と文化、さらには経済を支える重要な存在でした。
帝国の広がりとともに、西ヨーロッパ各地に広がったワイン生産地は、現在も多くの名産地として名を残しています。
その生産技術は驚くべき進化を遂げました。
燻製室「フマリア」や北向きの貯蔵室といった精緻な設備が考案され、樽やガラス瓶の登場は輸送と保存を革新したのです。
また、高地や平地でのブドウ栽培の違いに基づき、原産地の違いを明確に示す「アペラシオン」の概念が生まれ、ファレルニアンワインなど高名な銘柄が生み出されました。
しかし、ただの贅沢品にとどまらなかったのがローマのワイン文化の奥深さです。
薬用の効能を信じ、真珠を溶かして飲むというような豪奢な行為も行われました。
伝説によれば、クレオパトラがマルクス・アントニウスを誘惑したのもワインにまつわる物語の一部であるといいます。
時に法律で規制され、時に詩人に歌われ、時には皇帝に愛されたこの液体は、帝国の終焉とともにその姿を変えたものの、カトリック教会による継承を経てヨーロッパ中に根付き続けました。
そして、忘れてはならないのがシュパイアーワインボトルです。
325~350年頃の液体がまだ残るこの古代の遺物は、ローマ人が遺したワイン文化の物証として、静かにその時代を物語ります。