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【韓国雑学】「私は”韓国の年齢”で30歳です」ってどういうこと?「数え年」廃止で1~2歳若くなった?

西嶋広美翻訳者(韓国語)/フリーライター
数字のイメージ画像

韓国映画やドラマを見て、年齢に違和感を覚えたり、韓国の芸能人のファンミーティングで「私は韓国の年齢で30歳(例)です」と聞いて、何?と思ったりしたことはありませんか。それは、韓国では一般的に“数え年”が用いられていたことにあります。

■「数え年」とは……「満年齢」との違い

「満年齢」は、出生時点が0歳で、誕生日を基準に年齢を重ねていくという年齢計算方法です。多くの国がそれを採用しており、国際基準となっています。日本では1950年から「満年齢」が義務付けられましたが、厄年や元号(←こちらは年齢ではないが……)などでは、いまも数え年が使われています。

一方の「数え年」は、出生時点が1歳とし、新年を迎えた1日1日に年をとるという数え方です。韓国では、赤ちゃんが母親のお腹の中に宿った瞬間からひとつの命と捉え、それを1歳とする考え方が根付いていました。

■「数え年」で年をとる具体例

誕生日のイメージ画像
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昨日2024年4月29日生まれの場合
2024年4月29日、出生した時点で1歳になります。そして2025年1月1日に2歳を迎えます。その後は毎年1月1日に1歳ずつ年をとるというかたちです。ただし、4月29日の誕生日は日本と同じように祝います。ただ、誕生日を迎えても元旦に年をとっているわけなので、年齢はそのままです。

では、12月31日生まれの場合はどうなるのでしょうか。
同じように12月31日の生まれた時点で1歳、翌日の1月1日には2歳になります。

こう見ると、満年齢に慣れた日本人にとっては、少し混乱しますよね。

■2023年に「数え年」廃止=国際基準へ

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)現大統領(政党:国民の力)が2022年の総選挙の際、公約のひとつとして、年齢の数え方を満年齢に統一する意向を示しました。2022年12月、国会が「満年齢統一法」を可決。同法に基づき、2023年6月28日より国際的に使われている「満年齢」に統一する制度が施行されました(例外もあり)。数字的には1~2歳若くなったのです。

会話のイメージ画像
会話のイメージ画像

日本では年齢を尋ねることが失礼に値するケースが多いかもしれませんが、韓国では初対面で年齢を教え合うことがよくあります。関係性にもよりますが、1歳でも年齢が違えば、言葉遣いや呼び方が変わってくるからです。

私(筆者)の経験上、外国人に対してはそれほど厳しいという感覚はなく、年齢問わずタメ口(パンマル)で話す韓国人の友人はたくさんいます。

外国の文化があふれそれに慣れ親しんでいる現代、以前に比べれば、それほど年齢にナーバスになる必要はありませんが、あいさつ代わりに「何年生まれですか?」と尋ねてみるのが、うまくコミュニケーションを図るポイントです。その際、数え年なのか満年齢なのか、正直、まだ分からないこともあるので、「生年月日」を聞くのが肝心です。

翻訳者(韓国語)/フリーライター

小学生の頃から韓国が大好き!“韓国歴”は30年以上。神田外語大学韓国語学科卒(在学中「韓国外国語大学校」に交換留学)。大学卒業後は約18年間に渡り、韓流ポータルサイトのニュース記事(芸能・政治・経済・社会・スポーツ・北朝鮮)翻訳&コンテンツ企画業務に従事。インタビューや取材記事なども多数執筆。現在はフリーランスの翻訳者&執筆家(writer)として活動しています。

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