主な新興国/米国経済ニュース(8月5日)
7月29日-8月2日のロシアRTS指数、1336.39―2週続落=BRICs市況
前週(7月29日-8月2日)のロシア株式市場は月替わりとなったものの、RTS指数(ドル建て)の2日終値は前週比0.9%安の1336.39と、2週続落となり、依然、低迷している。7月は12日終了週に5週ぶりに1300台に回復したものの、上昇基調も長続きできず、RTS指数は依然、年初来15%安となっている。
週初(7月29日)のRTS指数は、中国と日本の経済データの悪化や、金属大手ノリリスク・ニッケルの上期(1-6月)の生産が前年比4%減となったことが嫌気され、前週末比0.5%安と、続落して始まった。翌30日はロシアのカリウム肥料大手ウラルカリー化学がベラルーシのカリ肥料大手BPCとの合弁を解消し、また、自社株買いも一時中止すると発表したことから19%安と急落し、RTS指数は30、31日と続落した。
月が変わった1日は、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策決定会合後に、超低金利と第3弾量的金融緩和(QE3)の据え置きを発表、また、声明文でもQE3縮小の時間軸を示さなかったことやユーロ圏7月製造業PMI(購買部景気指数)が上方改定されたことから買い安心感が広がり、RTS指数は7月19日以来9営業日ぶりに上昇に転じ、週末2日もRTS指数は、米7月雇用統計の新規雇用者数の伸びが予想を下回ったものの、失業率が7.4%に低下する中で、2日続伸となった。
今週(8月5‐9日)のロシア市場は、米国のS&P500指数が1700ポイントの大台を維持し、一段高の展開となるかどうかによって左右される展開になりそうだ。もし、高値警戒感から米株が調整売りの局面に入ればロシア株も値を下げる可能性が高いと見られる。
今週の相場に影響を及ぼす大きなイベントとしては、米国は7月ISM(サプライマネジメント協会)非製造業景況感指数(5日)や6月貿易収支(6日)、週間新規失業保険給付件数(8日)、アジアでは、日本の6月景気先行指数(6日)や日銀金融政策決定会合(7‐8日)、中国の7月貿易収支(8日)や7月消費者物価・生産者物価指数(9日)、7月小売売上高・鉱工業生産指数(9日)、欧州ではユーロ圏7月非製造業PMI(購買部景気指数(5日)や6月小売売上高(5日)、ドイツ6月鉱工業生産指数(7日)、ECB(欧州中央銀行)月報(8日)などが予定されている。
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ロシア食品スーパー大手マグニト、中間配当金は2倍超に増配へ
ロシア食品スーパー大手マグニトは1日、2013年度の1株当たりの中間配当金を前年の2倍の46.06ルーブル(約140円)に増配することを明らかにした。中間配当金の総支払額は43億6000万ルーブル(約130億円)で、これは中間期の純利益の約30%に相当する。これまで同社は、配当性向は純利益の25-35%に引き上げる考えを明らかにしていた。
また、同社が先月23日に発表した4‐6月期決算は最終利益が売り上げ好調を反映して、前年比45.5%増の2億6460万ドル(約260億円)となり、アナリスト予想のコンセンサスである2億2300万ドル(約220億円)を上回った。さらに、通期業績見通しについて、売上高を従来予想の前年比27‐29%増から27‐30%増へ、EBITDA(利払い・税・償却前利益)の利益率も9.2‐9.7%から9.7-10%へ、いずれも上方修正している。
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ロシア長距離電話ロステレコム、民営化時期で2015年以降を提言
ロシア長距離電話最大手ロステレコムは、政府の持ち株売却による完全民営化の時期について、政府の既存の計画で2014年末までに政府の持ち株55.6%を売却するとなっているのに対し、2015-2016年が望ましいと提言している。ロシアのプライム通信(電子版)が2日に伝えた。
これは同社の社内文書の中で明らかにされたもので、それによると、2014年の同社の業績は売上高が減収となるため、政府の持ち株を売却しようとしても投資家があまり多くは集まらないことが予想されるとしている。その上で、むしろ、2015-2016年の方が民営化にとってベストな環境が整い、最大の売却収入が得られると指摘している。
これより先、ロシア連邦国家資産管理局のオルガ・デルグノフ局長は4月10日、記者団に対し、今年の早い時期に長距離電話最大手ロステレコムを民営化するため、政府保有の全株を売却する可能性があることを明らかにしている。
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インドネシア4-6月期GDP伸び率、5.81%増―3年ぶり低い伸び
インドネシア中央統計局(BPS)が2日に発表した同国の2013年4‐6月期GDP(国内総生産)伸び率は前年比5.81%増と、2010年7‐9月期の5.8%増以来、3年ぶりの低い伸びとなり、アナリスト予想の5.9%増を下回った。ジャカルタ・グローブ(電子版)が3日に伝えた。
また、前期比は2.61%増となり、1‐3月期の同1.41%増を上回ったが、アナリスト予想の2.75%増を下回った。ただ、唯一明るい材料は、1‐3月期のGDP伸び率が6.03%増と、前回発表時の6.02%増から上方改定されたことだ。
シンガポールのOCBC銀行のエコノミスト、グンディ・チャヤディ氏は、この結果について、「インドネシア経済は伸びが鈍化している。これは明らかにインドネシア通貨ルピア安の影響を受けて投資の伸びが鈍化したためだ」と指摘している。投資の伸びは前年比4.7%増と、前期(1‐3月)の同5.9%増から伸びが鈍化した。特に投資のうち、外国からの対内直接投資額(FDI)は前年比18.9%増となったものの、2010年以来3年ぶりの低い伸びとなった。国内からの投資額は同59.1%増だった。
他方、GDP全体の55%を占める個人消費も6月の燃料補助金縮小に伴う燃料費の上昇で、インフレ期待が強まった結果、同5.06%増と、前期の5.17%増から伸びが後退している。
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ベトナムの大半の銀行、年末時点の不良債権比率が上昇か横ばいと予想
ベトナム中央銀行の通貨統計・予測局の最新の調査によると、国内の銀行の50%以上はベトナム経済の厳しい状況を反映して、顧客の法人企業の経営悪化リスクが上期(1-6月)中に高まったことから、今年末時点の不良債権比率が1年前に比べ低下せず、むしろ上昇するか、あるいは、横ばいのいずれかになると見ていることが分かった。ベトナムタイムズ(電子版)が3日に伝えた。
前回の昨年12月の調査時点では、全体の40.2%の銀行が今年上期の業績は改善すると予想していたが、今回の調査ではその比率はわずか30.4%に低下している。また、一段と業績が悪化すると見ている銀行の割合は前回調査時の10%から21.5%と、2倍超に増えている。さらに、全体の約50%が今年上期の税引き前利益は昨年下期(7‐12月)を下回ると見ており、大半の銀行は20-30%減になったと指摘している。
ただ、全体の63.3%は、今年下期には業績が改善すると予想している。その一方で、3.8%は一段と悪化すると予想している。
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米石油大手エクソンモービル、4‐6月期純利益57%減―予想下回る
米石油大手エクソンモービルが1日に発表した2013年4‐6月期決算は、純利益が前年比57%減の68億6000万ドル(約6800億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同55%減の1.55ドルとなり、アナリスト予想の1.89ドルを下回った。
純利益が57%減と、大幅減となったのは1年前の前年同期の純利益に75億ドル(約7400億円)の資産売却益や法人税関連益といった本来、一時的項目とされるべき特別利益が含まれていたが、当期ではこの一時的項目が剥落したため、前年との比較で大幅減少となっている。もし、この75億ドルの一時的項目を除外したベースで見た純利益は前年比19%減、また、1株当たり利益も14%減となる。
一方、売上高も同16%減の1065億ドル(約10兆5000億円)となり、アナリスト予想の1080億ドル(約10兆7000億円)を下回った。石油・天然ガスの1日当たり生産量は前年比1.9%減の400万バレルとなり、8四半期連続で前年水準を下回った。生産が減少しているのは原油国の国営同業大手との競争激化や大規模な石油採掘が難しくなってきているためだ。
また、同社は7‐9月期の自社株買いの規模を30億ドル(約3000億円)に引き下げることも明らかにした。これは2四半期連続で自社株買いの削減となる。
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米デルの創業者、デル買収額を引き上げ―非公開化の株主総会延期へ
経営再建を目指している米パソコン大手デルの創業者兼CEO(最高経営責任者)のマイケル・デル氏と米プライベートエクイティ(PE)ファンドのシルバーレイク・パートナーズは2日、デルの株主と同社取締役会の特別委員会に対し、デル本体の買収提示額を引き上げた。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチ(電子版)が伝えた。
これまで、デル氏らは1株当たり13.65ドル(約1350円)、総額244億ドル(約2兆4200億円)の買収額を提示していたが、一部の株主はこの買収額では安すぎるとして反対する意見が出ていた。新しい買収提示額は1株当たり13.75ドル(約1360円)で、このほか、デルがデル氏とシルバーレイクへの身売りが実現しなかった場合、違約金として支払わなければならないブレークアップ・フィー(手切れ金)も従来の4億5000万ドル(約450億円)から半分以下の1億8000万ドル(約180億円)に引き下げること、さらに7‐9月期に支払う配当金1株8セントに加え、特別配当として1株13セントを株主に追加して支払うとしている。
デルではこの新提案を受けて、デル本体の非公開化(上場廃止)計画の是非を問う株主投票を当初予定していた2日から9月12日に延期した。デル氏とシルバーレイクは2月に、デルの企業存続策としてデル本体を買収し非公開化することを提案している。しかし、大株主の著名な投資家カール・アイカーン氏デルはデルの非公開化計画を阻止するため、訴訟を提起している。
デルの2日の株価は前日比5.6%高の13.68ドルに急伸して引けている。
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ブラジル通貨レアル、先週末、対ドルで反発―中銀介入余地生まれる
先週末(2日)、ブラジル通貨レアルが対ドルで上昇に転じたことで、ようやくブラジル中銀の通貨スワップによるレアル安阻止の市場介入の余地が出てきた。オ・エスタド・ジ・サンパウロ紙(電子版)が2日に伝えた。
その前日(1日)、ブラジル中銀がレアル安阻止の市場介入に踏み切らなかったこともあり、レアルは対ドルで前日比1.1%安の1ドル=2.303レアルと、2009年3月31日に記録した2.318レアル以来、4年4カ月ぶりの安値にまで急落していた。
しかし、先週末に、米国の7月の雇用統計が発表され、新規雇用者数が予想を下回ったことからドルが主要通貨に対し下落、その流れを受けて、対レアルでも下落に転じ、一時、1ドル=2.277レアルと、前日比1.13%安となり、結局、1.04%安の2.279レアルで引けている。このドルの下げ幅は7月17日の1.2%安以来、約2週間ぶりの大幅なものとなった。
ブラジル証券会社フェア・コヘトラのマリオ・バチステル為替部長は、ドル安(レアル高)に転じたのは、「明らかに米国の雇用統計が弱い結果となったことで、FRB(米連邦準備制度理事会)の第3弾量的金融緩和(QE3)の早期縮小懸念が後退したことによるドル売りが要因だ」としている。その上で、同氏は、「ブラジル中銀が2日午前に通貨スワップ入札を通じたドル売り・レアル買いを実施したように、中銀によるレアル安阻止の市場介入の余地が生まれた」と指摘している。
一方、ギド・マンテガ財務相は1日、ドル・レアル相場について、「FRBが(QE3の)景気刺激策を事実上、放棄し始めるまではドル・レアル相場は不安定な状態が続く」との認識を示している。 (了)