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『防災の日』に注目ワード!レトルト食品会社に聞く“無意識ローリングストック”と“フェイズフリー”とは

コティマムフリー記者(元テレビ局芸能記者)
ニシキヤキッチン提唱のローリングストックのすすめ。/写真提供:ニシキヤキッチン

 きょう9月1日は『防災の日』です。8月下旬に発生した台風10号の影響が長期化し、食料の備蓄や防災用品を見直している方も多いのではないでしょうか。

 つい先日も、8月8日に宮崎県・日向灘沖を震源とする最大震度6弱の地震が発生、気象庁が同日に「巨大地震注意」を発表したばかりです。翌9日には神奈川県で震度5弱を観測する地震が続けて起こり、南海トラフの危険性も心配になりました。

 9月1日は、死者・行方不明者推定10万5000人という関東大震災が発生した日(1923年)。明治以降の日本の地震被害としては最大規模の被害を出した地震です。その後、60年6月11日に行われた閣議で、「9月1日を『防災の日』とする」ことが了承されました。この前年の59年9月には、戦後最大の被害を出した伊勢湾台風が発生しており、防災の日創設の契機となっています。

 備蓄や防災でよく聞く言葉として、「ローリングストック」があります。災害時に備え、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、賞味期限を考慮して古いものから消費。消費した分を買い足すというもので、「常に一定量の食品を家庭で備蓄しておく方法」です。すでにご家庭でローリングストックを実践している方もいらっしゃるかもしれません。

ニシキヤキッチンのレトルト食品/筆者撮影
ニシキヤキッチンのレトルト食品/筆者撮影

 カレーやスープなどのレトルト食品約120種類を販売しているニシキヤキッチンは、“無意識ローリングストック”、“フェイズフリー”という言葉を使っています。“無意識”という言葉がついたローリングストックとは、どういうものなのでしょうか。また、“フェイズフリー”とはどういう意味なのでしょうか。

ニシキヤキッチンの菅原幸太さん/筆者撮影
ニシキヤキッチンの菅原幸太さん/筆者撮影

 今回は、元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、“無意識ローリングストック”と“フェイズフリー”、そして備蓄にオススメのレトルト食品について、ニシキヤキッチンの菅原幸太さんにお話を伺いました。(取材・文=コティマム)

日常の延長線上にある“無意識ローリングストック”と“フェイズフリー”

『NISHIKIYA KITCHEN』自由が丘店/筆者撮影
『NISHIKIYA KITCHEN』自由が丘店/筆者撮影

 ニシキヤキッチンを手掛ける株式会社にしき食品は、1939年に宮城・仙台市で佃煮製造業として創業。その後、75年にレトルト殺菌装置を導入し、81年に本格的にレトルト業へ転換しました(会社案内もレトルトパウチに入っていてオシャレ!)。現在は通販の他、仙台市や東京・自由が丘などに直営店舗を構えています。

パウチに入っているにしき食品の会社案内/筆者撮影
パウチに入っているにしき食品の会社案内/筆者撮影

「レトルト食品を『手抜き』ではなく、『カンタン』にすること。世界中の料理を手軽に楽しめるようにすること。キッチンにいる人の負担を軽くすること」をモットーに、水や塩などにこだわり、素材をいかした製品を作っています。また、レトルト食品が小分けで長期備蓄しやすいことから、災害時の備えとしても呼びかけています。

『NISHIKIYA KITCHEN』で展開する『防災の日』向けコーナー/筆者撮影
『NISHIKIYA KITCHEN』で展開する『防災の日』向けコーナー/筆者撮影

――通販でも店舗でも、『防災の日』用に自社のレトルト食品を紹介されていますね。

菅原さん(以下、菅原):レトルト食品は、100度以上で加圧・加熱して煮込んでいますので、常温で長期保存ができます。基本的には「温めて食べること」を前提に作られていますが、実は温めなくてもそのまま食べることはできるので、ガスや電気、お湯が使えない状態でもお召し上がりいただけます。日頃からご家庭に常備しておけば、災害時の備えになります。

――防災の備蓄として使えますね。

菅原:ニシキヤキッチンでも、「ニシキヤキッチン流 ローリングストックのすすめ。」として、「備蓄→消費→ストック補充」を勧めています。災害時は、『最低でも3日から1週間分×人数分の備蓄』が推奨されていますので、日頃から意識して少し余分にレトルト商品を購入しておくことで、いざという時に使うことができます。さらに、普段食べ慣れているものであれば、“もしも”の時の安心度合いが増します。今後は“無意識ローリングストック”を呼びかけていこうと思っています。

――“無意識ローリングストック”ですか。

菅原:「備蓄をしよう」と思って意識して非常食を集めるのではなく、日頃の買い物の中で定期的にレトルト食品を多めに買っておくことで、“日頃の食事の延長線で備えの準備”ができます。普段の生活の延長線上でできることなので、面倒だと感じることなく防災対策ができます。これが“無意識ローリングストック”です。

常温でも食べることができるのがレトルトの強み/筆者撮影
常温でも食べることができるのがレトルトの強み/筆者撮影

――確かに、“無意識ローリングストック”なら普段の生活の中で実践できますね。

菅原:同じような意味で“フェイズフリー”という言葉もあります。これは食品に限らず、「平常時も災害時も物理的・精神的に普段と変わらない環境であることを目指そう」というものです。「日常フェーズ、非日常フェーズにとらわれない暮らし」ということです。

――災害時・通常時とフェーズ(局面)を分けないのですね。

菅原:私も含めて、「災害に備えよう」と意識するからこそ準備が進まない人もいると思います。特別なことを準備するのではなく、「日常がそもそも災害時に耐えうる状態」であるようにするという考えです。“無意識ローリングストック”と同じように思います。

備蓄にオススメなレトルト食品は「常温でそのまま食べてもおいしいもの」

備蓄にはカレーやスープがオススメ/筆者撮影
備蓄にはカレーやスープがオススメ/筆者撮影

――実際に、どれくらいの頻度でレトルト食品を増やしていけばいいのでしょうか。

菅原:私としては、週3食ほどレトルト食品を日常的に取り入れることをオススメしたいです。一人暮らしだと1か月分で12個ほど。少なくとも10個位は常にある状態ですね。「10個×家族人数分」くらいあれば良いのではないでしょうか。

「備えよう」と意識するよりは、例えば「週の半分くらいの昼食がレトルトカレー」「週の半分くらいの朝食にレトルトスープ+パン」といった感じで取り入れていきます。手前味噌ですが、弊社の商品は水や素材にもこだわっていて種類も豊富ですので、日常的に食べていただいても飽きずにおいしく楽しめると思います。

――災害時用に選ぶとしたら、どういったレトルト食品がオススメですか。

菅原:先ほども少しお伝えしましたが、レトルト食品は「温めて食べること」を前提に作られているものの、温めなくても食べることはできます。災害時に電気やガスが止まり、水も出ないような状態になったことを考えると、「そのまま食べてもおいしいもの」をオススメしたいです。

常温では油分の少ないカレーを選ぶ/筆者撮影
常温では油分の少ないカレーを選ぶ/筆者撮影

 カレーやスープ、おかゆなどがオススメですが、油分が多いものは温めないと油の塊を食べることになってしまうので、カレーなどはお肉の入っていない野菜カレーがオススメです。にしき食品のもので言えば、グリル野菜がたっぷり入った南フランス伝統の煮込み料理をアレンジした「ラタトゥイユカレー」や、大き目の具材がゴロッと入った「野菜ゴロゴロカレー」です。油分が少ないため、温めなくてもそのままで美味しく食べることができます。また、お肉ではれば比較的油分が少ないチキンのカレーが良いと思います。お子さんがいらっしゃる家庭では、小さめに具材をカットした「こどもカレー」をストックしておくといいかもしれません。

常温で食すのに向いている野菜が多めのカレー/筆者撮影
常温で食すのに向いている野菜が多めのカレー/筆者撮影

 おかゆもそのまま食べられますが、かつおと昆布の出汁で炊き上げた「かつおだし粥」などは、和風の味わいでいざという時でも食べやすいと思います。

災害時にあると便利なお粥/筆者撮影
災害時にあると便利なお粥/筆者撮影

 またコーンポタージュやミネストローネなどのスープも、常温でそのまま食べてもおいしいですし、野菜も摂取できますのでオススメです。

スープもストックにオススメ/筆者撮影
スープもストックにオススメ/筆者撮影

――カレーやスープなら普段から食べやすく消費もできますね。私も“フェイズフリー”の意識を持って、日頃から“無意識ローリングストック”を実践しようと思います。

菅原:弊社としても、「ローリングストックのすすめ。」から発展して、今後は“無意識ローリングストック”が浸透するように、日常にレトルト食品を取り入れる習慣を呼び掛けていきたいと思っています。

 いかがでしたか? 地震大国・台風大国の日本で生活する以上、「いつか」に備えておくことは重要です。きょう9月1日の『防災の日』を機に、“無意識ローリングストック”と“フェイズフリー”の意識を取り入れて、レトルト食品をチェックしてみてくださいね。

 言葉に関する記事については「”ゲリラ豪雨”は正式用語じゃない? マスコミの俗語が定着」もご覧ください。※スマホからご覧の方は、プロフィールからフォローしていただくと最新記事の見逃しがなくおすすめです。リアクションボタンもプッシュしていただけると、励みになります!今後も記者目線で、「ちょ~っとだけタメになる(?)」言葉解説をつづっていきます。

※今回の記事は、ニシキヤキッチンさまに掲載の許可をいただいた上で公開しています。取材時にレトルト食品の試食をしています。本記事制作にあたって はガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

フリー記者(元テレビ局芸能記者)

元テレビ局芸能記者で、現・フリーランス記者。歌舞伎や舞台、芸能イベント、企業・経営者を取材中。記者目線ならではの“言葉のお話”や、個人的に取材したおもしろ情報を発信していきます♪執筆記事1万本以上。取材は5200回以上。現在は『ENCOUNT』、小学館『DIME WELLBEING』、舞台評、出版社書籍要約、企業HP制作など多岐に渡り執筆中。過去媒体にテレ朝ニュース、キャリコネニュース、音楽雑誌『bounce』etc.

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