“ソフト職質”で大麻発見:警察官とソフト対応、北風と太陽の心理
■若手女性巡査が“ソフト職質”で大麻発見
女性警察官のお手柄記事です。
ライトをつけず、ふらふらとしていた自転車を見つけての職質を行った結果でした。
このケースでは、優しくソフトな声かけでなくとも、怖くて高圧的な職質でも良かったでしょうか。いえ、そうではないと思います。
■職務質問(職質)とは
職質とは、警察官職務執行法に基づき、異常な行動や、何らかの犯罪の可能性が考えられる行動を見た時に、警察官がその人を呼び止めて、質問する行為です。
私も学生のころ、大学前でサークル勧誘のチラシを配っていて、職質を受けました。ちょうどその日、私とは無関係の活動家の集会が学内であったからです。
友人は、海外要人が来ていたときに、筒状の荷物をバイクで運んでいて、呼び止められました。
ある悪役俳優は、ただ歩いていただけで何度も呼び止められたことがあると、テレビで語っていました。
在日外国人の友人は、見た目や名前がアラブ人ぽかったので、アメリカ同時多発テロの時は、よく呼び止められたと言っていました。
■職質の効果と問題
今回のように、職質によって容疑者逮捕につながることもあります。犯罪防止になることも、もちろんあります。
しかし、職質されるのは、身に覚えのない人にとっては不愉快でしょう。まして高圧的な態度で職質されれば、とても不愉快です。
そんなことが繰り返されれば、警察への信頼感が揺らぎます。警察官と市民との信頼関係がなければ、犯罪捜査にも、防犯活動にも支障がでます。そうなる危険性や、トラブルの可能性を考えれば、警察官も職質しずらくなるでしょう。
■ソフトな職質の効果
そこで、優しく、ソフトな職質です。
私も、優しくソフトに質問され、「今日は危ないから、別の日にするといいよ」と親切にアドバイスされました。
学生だった私は、その警察官に悪感情を持ちませんでした。
警察官は逮捕術も学びます。しかし、格闘だけが犯人逮捕ではありません。今回のように、違法なことをしている人が、逃げたり殴りかかってきたりしないような、ソフトな対応が効果を上げることもあるのです。
■警察官と私たちとソフト対応
私が住む新潟市の成人式には、4,500人ほどの成人が集まります。すごい数です。ほとんどが普通の成人たちですが、中には変わった格好をしている成人もいます。
市の職員は、大き声を上げて、新成人たちを会場に入れよとしています。何千人もの人を動かすのは大変です。
そこには、制服警官もいます。けれど、警官は何もしていないように見えました。声を張り上げて若者たちをコントロールすることなく、ただそこに立っているのです。
もしも警察官が、「静かにしろ!」とか「早く移動しなさい!」と大きな声を出したらどうでしょうか。せっかくの楽しい雰囲気が壊れます。
新成人たちの中には、警官に反発する人もいるでしょう。そうして対立や混乱が生まれたら大変なことになります。
だから、警察官は黙っているのでしょう。でも、体格の良い、きりっとした制服警官です。万が一、新成人同士の殴り合いのケンカでも始まったら、すぐに対応してくれることでしょう。
制服警官は、そこにいるだけで、抑止力にもなるでしょう。大きな声で指示を出している市の職員にとっても、心強い存在でしょう。
多くの場面で警察官は、ソフト対応をしています。通行止め、迂回のお願いなども、警察官はとても腰が低く、一台一台の車に丁寧に説明します。
「DJポリス」も、話題になりました。
<「DJポリス」に警視総監賞。その言葉に若者が従った理由を心理学的に考える>
浮かれている繁華街の若者たちなどに、高圧的な態度をとっても、混乱は生まれるだけです。ディスクジョッキーのように、フレンドリーに、共感的に、ソフトな語りかけが効果的なこともあるでしょう。
これは、若者や違法行為者を甘やかすのではなく、犯罪や混乱を防止するための効果的な方法の一つなのです。
旅人のコートを脱がすためには、強い北風を吹き飛ばす方法もあるかもしれませんが、温かな太陽の方が効果的なこともあるでしょう。
一対一の対面場面では、カウンセリング的な手法とも言えるでしょう。叱責、説教、脅し、高圧的説得ではなく、優しくソフトに、共感的、支持的にアプローチする方法です。
それは、ストーカーへの対応や、非行少年への対応、また取り調べ全般においても、効果的です。
拷問はもちろん許されず、カツ丼をごちそうすることも禁止されている現代の取り調べは、もっと心理学的でソフトな手法が使われています(刑事ドラマのウソとホント:拷問もカツ丼も使えない現代の警察の取り調べ手法の心理学:ヤフーニュース個人有料)。
そしてさらに、このソフト対応は、警察官だけでなく全ての人間関係においても、大切なことかもしれません。