巳年(へびどし)新年の心理学:年の初めに考えた方が良いこと
巳年
2025年は「巳年」(へびどし)。毎年の干支って、ほとんど正月だけの話題ではありますが、せっかくですから心理学的に考えてみましょう。巳、へびは普通は嫌われものですが、再生、知恵、変容などの象徴でもあります。
へびと心理学
へびは、恐怖、危機,誘惑の象徴でもありますが、一方で、変容や再生の象徴でもあります。へびは、脱皮しながら成長しますからね。脱皮も、比喩としては良い意味で使われるでしょう。私たちも、今年こそ脱皮したいものです。
へびは、医療や再生、生命力の象徴ともされます。杖に2匹のへびが絡みついているカドゥケウスは、WHOも採用しています。
へびは、隠れた場所に住むところから、無意識や潜在意識の象徴ともされています。私たちは、自分でも意識できない心を持っています。コミカルな恋愛ドラマだと、二人はケンカばかりしているのに、実は恋心が芽生えていたといったストーリーは定番ですね。
何かの目標を目指して頑張っているときに、世間体もあって頑張っているふりはしているけれど、心の奥底に不安があって、実はその目標に向かいたくはないこともあります。
目標達成のためには、外から見える言動も、心の底も、一致しているといいですね。心の底に不安があれば、その不安を自覚して誰かに話せると良いでしょう。話をすることで不安が解決されることもあります。
ユングは、ヘビを「無意識の暗黒面」や「自己の未知なる側面」の象徴としています。誰もが心の中に暗黒面を持っています。その影の部分を見るのは辛いことかもしれませんが、暗黒面も自覚することで、新しい自分になれることもあるでしょう。そして私の最も大きな長所も短所も、自分自身にはわからない部分にあるのだと思います。
へびと知恵
へびは知恵の象徴ともされます。エデンの園のアダムとイブは、へびに騙されてエデンの園を追放されます。このへびの誘惑の仕方が、とても巧みなのです。現代の詐欺師のようです。知恵を悪事に使ってはいけませんが、聖書の中にはこんな言葉もあります。
「へびのように賢く、はとのように素直に」(マタイ10:16)
聖書なんて、右の頬を打たれたら、左の頬も出せなどと書いてある本です。ところがその聖書でも、厳しい社会を生き抜くためには、へびのように賢くと勧めているのです。ただし同時に、はとのように素直にですが。
あなたの愛や理想をぜひ実現してほしいと思います。はとのような優しさ誠実さが必要です。でもあなたの思いが正しければ正しいほど、反発や攻撃もあるでしょう。せっかく良い考えを持っているのに、ただやられるだけではもったいないと思います。へびのように賢く知恵を使っていきましょう。
年の初めに:成長マインドセット
心理学者のキャロル・ドゥエックは、「成長マインドセット」の重要性を述べています。私たちは成長し脱皮し新しい自分になれます。もっと能力を伸ばし、もっと良い性格になれます。でも、自分は変化成長できない、一生このままだと思っている人もいるでしょう。そんな思いを振り払い、自分は成長できる、やればできる!と信じる心が成長マインドセットです。
成長マインドセットを持つことで、人は自分の限界を突破し、新しい可能性を切り開いて行けます。お正月ぐらい、そんな気持ちましょう。そして本当に、そんな素敵な2025年になりますように。
「マインドセット「やればできる! 」の研究」キャロル・S・ドゥエック 草思社