紅白歌合戦:白組トップバッターこっちのけんとさん大緊張で「記憶真っ白」の心理学
NHK 紅白歌合戦 白組トップバッターこっちのけんとさん、大緊張で「記憶真っ白」
2024年の大晦日、恒例の紅白歌合戦。早速ニュースが出ています。
<【紅白】白組トップバッターこっちのけんと、大緊張で「記憶真っ白」も ギリギリダンスに会場沸く:スポニチY!ニュース12/31(火)>
「今思い返しても思い出せないくらい記憶真っ白です」
紅白歌合戦は、一流歌手の皆さんにとっても特別な舞台のようです。私たちも、このような大舞台ではなくても、それぞれの大舞台で記憶が真っ白、頭が真っ白になることってありますよね。これってどういうことなのでしょう。
頭が真っ白とは
記憶が真っ白、頭が真っ白になって、言葉が出なくなったなんて事は多くの人が経験していることでしょう。あの時の記憶が何もないなんてこともあります。発表会の時や面接試験、事故の時でもあるでしょう。
「大緊張で『記憶真っ白』」になる現象は、心理学的には過剰なストレスや緊張による脳機能の一時的な低下とも言えるでしょう。
ドラえもんが慌てると、4次元ポケットから正しい道具が出せなくなる場面がよくあります。私たちも緊張したり、慌てると、記憶のポケットから正しい記憶を引き出せなくなることもあるのです。また、あわてると記憶の棚にきちんと整理して入れられないこともあります。その結果として、記憶が思い出せません。
過剰なストレスは、私たちの脳と体に様々な影響を与えます。
ストレス反応と脳の働き
強い緊張を感じると、心拍数や血圧が上がり、脳がストレス反応を起こします。これは戦ったり逃げたりするための準備です。ところがこのストレス反応が、複雑な行動を邪魔することがあるのです。
たとえば、一時的な記憶の乱れが起きたり、冷静な判断ができなくなったりします。
「記憶真っ白」とは
大緊張で「記憶が真っ白になる」ということは、次のように説明できます。
1)記憶のアクセス、検索困難
緊張しても記憶がなくなるわけではありません。緊張により脳が余計な仕事を抑えようとした結果、普段なら簡単にできる記憶へのアクセスができなるのです。ドラえもんが、混乱んしてたくさんの道具の中から必要な道具を選び出せなくなるのと同じです。情報処理の過負荷とも言えるでしょう。また記憶が整理されていない状態でもありますね。
2)過覚醒(ハイパーアラート)
緊張しすぎて、緊急事態だと脳が判断すると、普段なら気にならない周囲の環境に注意が向きすぎます。その結果、今本当に必要なことを行う余裕がなくなります。
3)扁桃体の過剰活性
緊急事態であり、戦ったり逃げたりする必要がある時には、強い感情も必要です。強い感情は、体もパワーアップさせるからです。そのため、恐怖や不安を司る脳の部分である扁桃体が活性化されます。
原始時代に本当に戦ったり逃げたりするなら、それで良いのですが、現代では感情的になって冷静な判断を失うと、大失敗することもあるでしょう。
記憶真っ白、頭真っ白を避ける方法(ストレス対処)
十分な事前リハーサル
何度も練習を重ねてきたことは、体が覚えています。こっちのけんとさんが、頭真っ白と言いながら素晴らしいパフォーマンスを見せたのは、練習の成果でしょう。また大舞台に、事前に立って本番そのままのリハーサルをするのも効果的です。そんなリハーサルができない時は、心の中で想像するメンタルリハーサルも、十分効果的です。
呼吸法の活用やポジティブな自己暗示
深呼吸することや、「俺はできる」といったポジティブな自己暗示も効果的です。心臓がドキドキしたり汗をかくようなストレス反応も、大舞台では当然です。そんな時、自分は緊張している、もうだめだ、などとは思わず、心地よい緊張感と捉えることができるとパフォーマンスは下がりません。むしろこの緊張感をも良いストレスとして楽しめるような人が、大舞台でベストパフォーマンスを出せるのでしょう。
このような心理教育は子供にも有効です。子供もストレスを自覚すること、そのためにの心理教育が効果的です。<ストレスに負けない子を育てる心理教育法:ヤフーニュース有料>