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テロの心理学:ニューオリンズ多数死傷事件:心の戦争に負けないために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:ニューオリンズの街並み(写真:アフロ)

アメリカで40人超死傷 車にイスラム国の旗

アメリカのニューオリンズで、群衆に車が突っ込み40人以上が死傷した事件。FBIはテロと見て、捜査を始めている。

ニューオーリンズ多数死傷事件 容疑者はアメリカ国籍の42歳 車に「イスラム国」の旗:TBS Y!ニュース1/2

テロ:心の戦争に負けないために

一般市民への無差別テロは、許されない。だが、ある意味テロリズムは、弱者の戦い方だ。アメリカを軍事的に征服するような力はない人たちの戦う方法が、テロである。

テロは、軍服を着て国旗を掲げて戦うような戦争ではない。テロリストは市民の中に潜んでいて、いつ被害を受けるかわからない。軍人ではない一般の人が被害を受ける。だから、テロは恐怖心を引き起こし、また大きな怒りを生み出す。

テロの恐怖に負けて、テロリストの要求を受け入れれば、テロリストの勝ちだ。逆に、テロ被害への怒りに我を忘れて反撃に出ると、国際世論が離れてしまう。これもテロの勝ちだ。

私たちは、テロリストが仕掛けてくる、この心の戦争に負けてはならない。テロの結果、偏見差別が強まり、国内が乱れてはいけない。

テロリストたちは、心理的に追い詰められていることが多い。お金があっても、自分たちの宗教や民族が世界から尊敬されていないと感じるのは辛い。あるいは、自分たちの苦しみを世界はわかってくれていないと思う時も、テロを起こしてでも世界の注目を集めようとする。

自国内でテロを起こす人も、自分の思いを伝え問題を打開するにはテロしかないと思い詰める。テロを防ぐためには、取り締まりを厳しくすれば良いわけではない。厳しすぎる取り締まりは、テリリスト予備軍を増やすことさえある。

テロなど起きなくても、世界の問題に目を向けたい。そして世界のどの人々も、自分たちは尊敬され愛されていて豊かに暮らしていると、そう思える時に、テロ事件は解決へと向かうのだろう。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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