岸田流リーダーシップ「聞く力」をどう身につけるか? 「ダメな聞き手」4つの特徴
■岸田流リーダーシップ?「聞く力」について
第100代総理大臣に就任した岸田文雄氏は、みずからの長所を「聞く力」と明言している。成功する人の「聞き方」、奪われる人の「聞き方」 ~傑作『LISTEN』を読み解く~で記したとおり、多くの人が不安を覚える時代だ。誰もが自分の話を聞いてもらいたい。誰かに伝えたいことがあると思っている。だから現代の組織リーダーには「聞く力」が不可欠だと言える。
とはいえ、ただ「聞く」といってもいろいろな種類がある。相手を選ばないと、単なる時間の浪費。利己的な人の話を聞いても、害があるだけ。ビジネスの生産性も落ちていく。
多くの国民もそう感じているだろう。
「岸田首相、聞く力は大事ですが、聞く相手を間違えないでくださいね」
と。
そこで今回は、リーダーシップとして必要な「聞く」とはどういうことなのか。さらに「ダメな聞き手」4つの特徴についても言及する。
■リーダーシップとして必要な「聞く」とは?
そもそも「聞く」とは、学術的には以下のような定義だ。
「対人という文脈における、情報の取得、処理、保持」
しかし、さらに広義の意味合いで捉えている人もいる。たとえばある企業の課長が部下に向かってこう言ったらどうか。
「どうしてまだわかってないんだ。先週の会議で、私がこう言ったのを聞いていただろう?」
「聞く=理解する」と考えているリーダーは、このように勘違いする。部下たちに話を聞かせれば、自動的に話を理解もすると思い込んでいるのだ。非常に雑な思考である。このような思考が結果的に「会話」を疎かにし、部下たちの心が離れていく原因となる。
次に、ある企業役員のセリフを紹介したい。
「A事業部の部長は、俺の言うことなら何でも聞いてくれる」
このセリフはどうか。単に聴覚器官を使っての情報取得ではなく、「聞く=従う」とまで解釈している。これは危険だ。自分の話を聞けば、理解し、受け入れ、その通りに行動するとまで解釈しているのである。
実際にそのような関係性であるなら、A事業部の部長はなるべくこの役員の話を聞きたいとは思わないだろう。「ちょっと話がある。会議室まで来てくれ」と呼ばれても「できれば行きたくない」「何か緊急な用事はないか」と考えるはずだ。なぜなら、話を聞いたら従わなければならないという関係性だからだ。
「私が言っていることをしっかり聞いてくれた」
「きっとあの人は私の考えを理解してくれたに違いない」
「だから私が期待したとおりに動いてくれることだろう」
リーダーが部下たちに対し、このような認識を持ってはならない。現代のリーダーに求められる「聞く」では決してない。それでは、どんな「聞く」が大事なのか。それを解説していく。
■「ダメな聞き手」4つの特徴
現代に求められる組織リーダーにとっての「聞く」は、話し手(部下)の不安を解消するためのものでなければならない。「聞く」ことによって、部下の言い分を理解し、受け入れることにはならない。話し手を安心させるため、話し手を承認するために「聞く」という姿勢が重要だ。
そのためには、以下に記す「ダメな聞き手」4つの特徴を頭に入れる。そしてできる限り、このような行動をしない努力が必要だ(意外と難しい)。
1.話をさえぎる
2.あいまいな返事をする
3.話し手以外を見る
4.落ち着かない態度をとる
詳しくは以下の動画で解説している。動画も併用して理解を深めてもらえたらと思う。
私が最も難しいと思ったのは「落ち着かない態度をとらないこと」だ。
相手の話を真剣に聞いているつもりだが、聞いている途中、ついつい腰を上げて座りなおしたり、ネクタイを締めなおしたりしてしまう。そもそも落ち着かない性格なので、これは気をつけていきたい。
このように、部下や組織メンバーの話を親身になって「聞く」ことが大事だ。とはいえ「優れた聞き手」になるためには意識を変えるだけではダメ。相応の訓練が必要だろう。オンライン時代になり「話す」重要性がますます高まっているが、「聞く力」もまた同様に必須のスキルとなっている。