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“イジメ騒動”の韓国女子バレー美人姉妹、海外で選手続行はアリか、ナシか!?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イ・ダヨン(写真:松尾/アフロスポーツ)

韓国女子バレー界の人気選手が再び“渦中の人物”となって話題だ。

その人物とはイ・ダヨン。なんでもギリシャの女子バレーチームであるPOARが彼女の獲得に興味を示しているらしい。トルコのエージェンシーである『CANN』が、「イ・ダヨンはギリシャでプレーする初の韓国選手だ」と報じたことで、明らかになったニュースだ。

イ・ダヨンと名前を聞いてピンと来なくても、韓国バレー界の美人双子姉妹と言えばおわかりだろうか。イ・ダヨンは双子の姉イ・ジェヨンとともに女子バレー韓国代表で主力を務め、テレビのバラエティ番組やファッション誌でも取り上げられるスター選手だった。

(参考記事:【写真】「この世の美貌じゃない」韓国女子バレー“美人双子”が雑誌で見せた圧巻ビジュアル

だが、今年2月に発覚した学生時代の“イジメ問題”によって、所属した興国生命ピンクスパイダーズから無期限出場停止処分の懲戒を受け、韓国代表資格をはく奪された。その一連の騒動は日本でも詳しく報じられたので、覚えている人も多いだろう。

姉妹はその後、自粛生活に入って表舞台から姿を消していたが、先週6月11日にイ・ダヨンのギリシャ移籍説が流れると状況一変。各メディアが周辺取材に追われている。

『スポーツソウル』のバレー担当記者によると、いじめ騒動以降、姿をくらましたイ・ダヨンは一時期、バレーボールを辞めることまで考慮したという。

とあるバレーボール界の関係者も「イ・ダヨンはあの事件の後、選手生活を終えることも考えたと聞いている」と明かしている。

そんな中でイ・ダヨンに声をかけたのが、トルコのスポーツエージェンシーだったという。

香川真司が属するPAOKのバレーチームへ?

提案されたのはギリシャのPAOKへの入団。POAKはギリシャの都市テッサロニキにある総合クラブで、日本でPAOKといえばサッカー日本代表の香川真司が属していることで知られるが、この総合クラブのバレーボールチームがイ・ジェヨンに興味を示しているというものだったらしい。

スポ―ツソウルの取材によると、イ・ダヨンはそのオファーを受ける方向で気持ちが固まりつつあるという。さまざまな状況から、まだ当分の間は韓国国内で選手生活を続けることは事実上困難なだけに、海外で新たな挑戦に乗り出す意志を示しているという。

ただ、イ・ダヨンが海外で選手生活を送るためにはいくつかの問題を解決しなければならない。

まずは所属する興国生命ピンクスパイダーズとの関係だ。無期限謹慎処分を下しているとはいえ、イ・ダヨンとチームの契約は3年。所属先はまだ興国生命であり、海外移籍するためには、まずは興国生命の了解を得る必要があるからだ。

ちなみに韓国Vリーグは現在、来季に向けた選手登録が始まっており、その登録締め切りは今月6月30日となっている。

この時点まで興国生命がイ・ダヨンの名前を登録しなかった場合、イ・ダヨンは任意退団選手扱いとなり、興行国生命の同意があれば海外へ出国することができるが、興国生命がイ・ダヨンを選手登録した場合、海外進出は不可能となる。

また、韓国バレーボール協会(KVA)の理解も必要だ。KVAは今年2月、代表資格が剥奪されたイ・ジェヨン・イ・ダヨン姉妹に海外進出の噂が流れたとき、「性的暴行、暴力、八百長など社会的物議を引き起こし、バレーボール界に重大な被害を及ぼした者に対しては、海外進出の資格を制限する」としていたのだ。

韓国では選手が海外進出するにはKVAから国際移籍同意書(ITC)をもらわなければならないが、現時点でKVAはイ・ダヨンにITCを発給する意向ではないとも伝えられている。

仮にKVAがITCを発給しなかった場合、イ・ダヨン側が国際バレーボール連盟(FIVB)に仲裁を求めるだろうと予測する声もあるが、イ・ジェヨン&イ・ダヨン姉妹が引き起こしたのは学生時代のイジメ問題だけに、FIVBがどんな結論を下すかも判断しがたいというのが、韓国バレー界の共通意見だという。   

サッカー界では代表資格剥奪・海外活躍の例

ただ、代表資格をはく奪されたからといって、海外移籍で選手生活続行に支障が出るわけではない。

代表資格をはく奪されたあとで海外に活躍の場を求めた韓国人アスリートで思い浮かぶのは、サッカーのチャン・ヒョンスだ。

2014年仁川アジア大会で金メダルを獲得として兵役免除の特例を受けるも、特例の義務であったボランティア活動の書類ねつ造が発覚したチャン・ヒョンスは、2018年11月に韓国代表資格の永久はく奪と罰金3000万ウォン(約300万円)の処分をKFAから言い渡されている。

当時チャン・ヒョンスはJリーグのFC東京に所属。翌年7月にはサウジアラビアのアル・ヒラルに移籍し、その年のACL優勝も経験した。現在もアル・ヒラルで活躍している。もっとも、いまだに韓国代表には復帰できていない。

いずれにしても、海外進出の可能性が浮上したことでふたたび“渦中の人物”となった韓国女子バレー界の人気選手。本来ならば東京五輪に挑む韓国代表にその名があってもおかしくはない実力者なのだが……。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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