併設の公民館を解体、減築される五角形の合築駅舎 北上線 ゆだ高原駅(岩手県和賀郡西和賀町)
岩手県北上市を起点に、奥羽山脈を越えて秋田県横手市とを結ぶローカル線・北上線。路線は道中で岩手・秋田両県境を越えており、その岩手県側にあるのがゆだ高原駅だ。岩手県最西端の駅でもある。そんな県境の駅・ゆだ高原駅の駅舎の一部解体工事が9月2日から始まった。
ゆだ高原駅は昭和23(1948)年12月25日、「岩手湯田(いわてゆだ)」駅として開業。駅名は当時の所在地・和賀郡湯田村に由来し、山口線の湯田駅(現:湯田温泉駅)との混同を避けるために県名を冠した駅名となった。
現在の駅舎は平成2(1990)年3月6日に建て替えられた2代目で、公民館と一体となった「合築駅舎」だ。五角形の建物のうち約3分の2が公民館で、駅舎としての使われているのは左端の部分だけとなっている。駅舎外観はかつて小学生の絵で彩られていた。
もっとも、公民館は近年使われていなかったようで、この度公民館部分を解体して、左端の駅舎部分のみを残すこととなった。工期は9月2日から11月中旬で、駅舎の待合室は引き続き利用可能。
北国らしく風除室を設けた造りの駅舎部分は待合室となっており、外側の壁に沿ってベンチが造り付けられている。ベンチ以外には本棚があり、蔵書数が多いものの、待合室の内装はいたって簡素だ。
ホームは一面一線。かつては島式ホームだったが、棒線化されて片側のみ使用されている。ホーム上の上屋にも風除けが設けられているのは寒冷地らしい。
駅名は駅舎改築の翌年・平成3(1991)年6月20日に「ゆだ高原」に改称された。同時に「陸中大石」→「ゆだ錦秋湖」、「陸中川尻」→「ほっとゆだ」と湯田町内の全3駅がまとめて改称されており、観光PRを狙ったものと思われるが、難読でもない「湯田」をひらがなにする必要はあったのだろうか。
木造駅舎と比べると鉄道ファンからもあまり注目されることのない、昭和末期から平成にかけて建てられた駅舎の数々。形状が個性的だったり、バブルの雰囲気を残していたりと注目してみると面白いものも多い。築30~40年を経て消える駅舎も出てきているので、記録しておくなら今が最後のチャンスなのかもしれない。
関連記事