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【ラグビーW杯】日本代表ジョーンズHCが語る南アフリカの印象と戦い方 「中心となるのはセットプレー」

斉藤健仁スポーツライター
南アフリカ戦に向けて23名を発表したジョーンズHC(撮影:斉藤健仁)

9月17日、ラグビー日本代表は、イングランド・ブライトンの宿泊先のホテルで2日後の19日に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)の初戦・南アフリカ代表戦のメンバーを発表した。そこで日本代表を率いるエディー・ジョーンズHCが、2007年にアドバイザーを務めて優勝に貢献した南アフリカをどう見ているのか。そして、どのように戦うのか答えた。

※日本代表の初戦の登録メンバーはこちら。

ジョーンズHCのコメントは下記の通り。

――南アフリカの印象は。

南アフリカはW杯で最も勝率の高いチームで、非常に大きくて経験の豊富なチームです。ジャパンは逆で、W杯での勝率がもっとも悪く、もっと小さいチームです。けれども、ジャパンは過去最高に経験値のあるチーム(先発メンバーの総キャップは574キャップ)で構成されています。非常に良い機会です。楽しみにしています。

――南アフリカ相手に歴史を作るためには、どこで勝負するか?

少年が巨人に、ダビデがゴリアスに槍を持って戦うようなものです。我々は槍をもっていないのでいろいろなもの武器を持って戦っていきたい。しっかり自分の戦えるものを見極めてぶつけたい。でも中心になるのはセットプレーだと思います。試合で戦うにはセットピースで戦えないといけません。

――W杯の初戦はどんな試合をしたいか?

勝てる試合をするだけ。勝つにはフィジカル面で戦い、どのようなボールでも勝ち取ったら動かす。相手が持っているボールを奪い返さないといけない。W杯に、日本としてリスペクトを得るために来ました。大会が終わった後、日本もリスペクト値するチームとして思われるような印象を与えたい。毎試合、そのリスペクトを得るために戦います。

そして上手く行けば勝つ。選手たちは良い準備しました。真っ向勝負する準備ができています。南アフリカは、ここまで苦戦しています。「ザ・ラグビー・チャンピオンシップ」(南半球4カ国対抗戦)でもあまり良い試合できなかった。アルゼンチンに初めて負けましたが、それを誰が想像したでしょう。なので、何が待ち構えているかわかりません。

――ジョーンズHCは、2007年W杯は南アフリカ代表に携わりました。内部事情を知っていることは日本の助けになりますか?

南アフリカはハーフウェイラインあたりのラインアウトは5人で、SOにFWの選手を入れてドライブして、その後はSHがハイパントを蹴る。フィジカルの大きさで、体で当ててくる。我々はそういう知識しかない。すべての相手に対して、戦術、日本の戦いを確立してきました。

ただ南アフリカのセレクションやテストマッチの結果を見るとナーバスになっていると思います。通常は、LOヴィクター・マットフィールドのようなベテランの選手は、初戦は休みのはず。初戦で出してくるということは、かなりナーバスになっていると思います。そのナーバスになっている隙を狙いたい。

――南アフリカのSHフリー・デュプレア、NO8スカルク・バーガー(ともにサントリー)は日本人の選手や戦い方を熟知しているのでは。

2007年から2人とも友人ですし、サントリーでもコーチをしました。彼らの考え方を知っているし、彼らは私の考え方も知っている。日本は相手に当たるのではなく、ボールを動かし続ける。ボールインプレーを80分のうち45分にすることが狙いです。南アフリカは、敵陣30m以外はボール展開しない。このように互いに戦い方を知っている。特別な情報は、どちらにも役に立たないでしょう。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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