九州は春本番、近畿と東日本太平洋側は続かない暖かさで本格的な春は少し先
2つに分かれている天気分布
令和3年(2021年)2月20日(土)から21日(日)は、全国の天気は2つに分けられます。
低気圧が次々に通過するために雲が多く、雨や雪が降っている北日本から東日本の日本海側と、帯状の高気圧に覆われるため晴天となっている東日本の太平洋側から西日本・沖縄の2つです(図1、タイトル画像参照)。
上空に流入していた寒気も日本列島を離れ、逆に低気圧に向かって暖気が北上したため、ほぼ全国的に気温が平年を上回った土曜日になりましたが、日曜日も似ています。
最高気温は、東日本から西日本で4月並みというところが多く、特に東京では5月上旬並みです(図2)。
この春本番を思わせる暖かさは、週明けの22日(月)も続きます。
しかし、春本番を思わせる暖かさは3~4日しか続かず、週半ばには再び寒気が南下してきます(図3)。
東京でも、大阪でも最高気温が10度という日が予想されています。
暖かさの目安として、平均気温10度を使う場合があります。
つまり、最高気温が10度の予報ということは、その日の平均気温は10度未満という予報と一緒で、暖かいとは言えなくなります。
「春一番」と「春宣言」
令和3年(2021年)2月4日、気象庁は関東地方で「春一番」が吹いたと発表しました。
また、2月20日には、朝には北陸地方で、昼過ぎには中国地方で、夕方には九州北部地方(山口県を含む)と四国地方でも「春一番」が吹いたとの発表がありました。
気象庁が「春一番」を発表する目安は、地方によって異なりますが、多くの日本人に春が来たという実感を与えています(表)。
しかし、「春一番」が吹いた後は、寒気が南下する寒の戻りがあり、「春一番」以降に暖かい日が続くわけではありません。
「春一番」の情報は、春が近づいているという意味の情報で、春が来ましたという情報ではありません。
日本では発表していませんが、中国・上海気象台は、春が来ましたという情報を発表しています。
それが、平均気温が10度以上になった日が5日連続した場合に発表する「春宣言」です。
冬から春にかけて寒暖を繰り返すことが多いのですが、5日連続で暖かくなれば、その後の寒気南下は一時的で弱いと考えているのではないかと思います。
今年の日本で「春宣言」をするとしたら
平年値で平均気温が5日以上連続した日をみると、札幌5月4日、仙台4月18日、東京3月31日、大阪3月23日、福岡3月17日、鹿児島2月19日が「春宣言」の日となり、私たちの実感にあいそうです。
なお、沖縄・奄美地方は、平年値でみるといつも10度以上で、冬に相当するものがないので、「春宣言」はできません。
平年値ではなく、令和3年(2021年)でみてみると、鹿児島では1月21日から28日まで連続して平均気温が10度を超えています。
従って、鹿児島の「春宣言」は1月25日ということになり、九州南部では春がきたことになります。
しかし、九州南部を除く西日本、東日本、北日本では、まだ平均気温が10度以上の日が5日連続していません。
福岡では2月12日から15日までの4日間、東京では2月13日から16日までの4日間連続しただけです。
平均気温の予報はありませんが、近似的に、最高気温の予報と最低気温の予報の中間の値を平均気温の予想とみなすことができます。
これを考慮すると、福岡の「春宣言」は2月24日になりそうです(図4)。
そして、24日以降も平均気温が10度を超える日が、少なくとも予報が発表となっている3月8日までは続きそうです。
2月18日に最高気温が3.9度、最低気温が氷点下0.6度と、真冬でもめったにない寒さの日から、1週間足らずで春本番です。
一方、東京と大阪は2月20日から23日までの4日間しか平均気温が10度以上の日が続きません。
東京の2月24日の最高気温の予報は12度、最低気温の予報は3度ですので、平均気温が7.5度位の寒い日となる見込みです(図5)。
来週に近畿から東日本の太平洋側まで南下する寒気は、あと少しで「春宣言」という暖かさのあとの寒気ですので、体感的には非常に寒く感じる寒気です。
体調管理に十分な注意が必要です。
タイトル画像、図1、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図4、図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに著者作成。
表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。