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ドラフト全体1位の初安打を三塁打にしたのと、左打席のレンドーンにホームランを打たれたのは同じ選手

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレット・フィリップス(タンパベイ・レイズ)Apr 11, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月21日、アドリー・ラッチマン(ボルティモア・オリオールズ)は、「6番・捕手」としてメジャーデビューし、三振と四球に続き、3打席目に初安打を記録した。

 ライト線に飛んだ打球は、右へ弾んでいった。そのままいけば、ラッチマンは二塁で止まっていただろう。けれども、ライトを守っていたブレット・フィリップス(タンパベイ・レイズ)は、ファウル・ゾーンのフェンスの手前まで追っていき、ボールを素手で拾おうとして掴み損ねた。走りながらそれを目にしたラッチマンは、スピードを落とすことなく、三塁に達した。記録は、三塁打だ。

 二塁打を三塁打としただけなら、フィリップスのプレーはすぐに忘れられるだろう。けれども、ラッチマンは、2019年のドラフト全体1位だ。評価どおりのキャリアを築いていけば、この三塁打は、その幕開けとして記憶されることになりそうだ。

 5月11日に「右打者のレンドーンが初めて左打席に立ち、ホームランを打つ。スイッチ・ヒッター以外に前例はある!?」で書いたとおり――この記事では、その前に登板した時の様子(上の写真)についても少し触れている――いつもと違う打席に立ったアンソニー・レンドーン(ロサンゼルス・エンジェルス)にホームランを打たれたのも、フィリップスだった。

 昨年4月には、こんなエピソードにも登場している。「地元ファン激怒!? カンザスの捕手が「スーパーボウルでカンザスのチームを破ったQB」のジャージを着る」

 また、フィリップスは、大谷翔平(エンジェルス)からヒットを打ち、大谷にヒットを打たれている。この両方を記録しているメジャーリーガーは、他にいるだろうか。前者は、昨年5月5日と今年5月11日にシングル・ヒットを1本ずつ。後者は、今年5月10日――レンドーンにホームランを打たれる直前、マイク・トラウトにホームランを打たれた直後――に二塁打を1本だ。

 ちなみに、フィリップスは、10年前のドラフトでヒューストン・アストロズに指名された。順位は、6巡目・全体189位だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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