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捕手危機ソフトバンクに救世主!? 内野手の曽根海成「高校で経験ある」

田尻耕太郎スポーツライター
居残りでキャッチング練習を行った曽根(右)。左は捕手の樋越【筆者撮影】

高谷、栗原が離脱。甲斐以外は一軍未経験

 ソフトバンクが深刻な捕手難に陥っている。21日から正捕手候補でベテランの高谷裕亮と、若手のホープで今春キャンプではA組で奮闘していた栗原陵矢の2人の捕手がリハビリ組へと合流した。

 高谷は「第1クールから痛みがあった」という右肘が「関節炎」と診断されており、最悪手術を行う可能性も検討されている。栗原は20日の練習中、ノックの打球に飛び込んだ際に左肩を脱臼した。

 ともに全治は未定だが、長期間の離脱も覚悟しなければならない状況だ。

 ソフトバンクの捕手事情。正捕手最有力には侍ジャパン戦士の甲斐拓也がいるが、第2、3捕手に不安を残す。残りの九鬼隆平、谷川原健太、張本優大、堀内汰門(育成)、樋越優一(育成)の5名はいずれも一軍経験が一度もない。

 また、さらに故障者が発生しないとも限らない。21日、ソフトバンク首脳陣は1つの決断を下したようだ。

急造捕手ながら二塁送球1秒7台

 同日朝、小川一夫2軍監督に呼ばれたのは、内野手の曽根海成だった。

「呼ばれた時点で予測はついていました。本職は内野手だし、ショートで一軍やレギュラーを目指していることに変わりはないけど、捕手をやることでチャンスが拡がるのなら」

 この日は内野手として通常メニューを行った後、夕方からの特守では捕手として参加した。ワンバウンドの投球を止め、二塁へのスローイングも行い、そして打撃マシンを相手に捕球を繰り返した。

「ミットは張本さんのを借りましたが、用具メーカーの担当者にお願いして自分用のミットを用意してもらいます」

 曽根は今季入団5年目。昨年7月にはフレッシュオールスターのMVPに輝くと、同月に一軍デビュー、スタメン抜擢も経験した。オフには今宮健太に弟子入りして自主トレを行うなど、伸び盛りの内野手である。

 しかし、京都国際高校時代は捕手だった。「といっても、最後の夏の大会までの約3カ月間だけですけど」。もともとの正捕手が夏前に怪我をしてしまい、肩が強かったという理由で監督から指名をされたのだった。

 曽根の強肩は、今宮も一目置くほどだ。急造捕手に指名された高校時代も、計ってみると二塁送球1秒7台とプロでもトップレベルのスローイングを披露したことがあった。

「あの時も捕手をやってみて、面白いなと感じていました。自分で試合を作る。色々なものが見えてくる」

 今後も基本的には内野手として練習を行っていく模様。あくまでも有事に備える形だが、「第3捕手も出来るところが評価されて一軍に居られるチャンスを掴めるのならば、僕は手段を選ばない」と大きな瞳に力を込めて言った。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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