震災の津波対策でかさ上げ工事完了 九十九里「波乗り道路」が 絶景のドライブコースに!
お正月明けの連休、人混みを避けてどこかへドライブに出かけたいなあと思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで関東エリアの方に、真冬の太平洋とどこまでも続く砂浜を独り占めできる絶景ドライブコースをご紹介しましょう。
その名も「九十九里有料道路」(通称・波乗り道路)。
北は千葉県の九十九里町から、南は一宮町まで、太平洋岸に沿って結ばれている全長17.2kmの有料道路で、ほぼ全線にわたり雄大な太平洋と九十九里浜の白い砂浜を一望することができます。
房総半島は冬でも温暖で、雪が降ることはほとんどありません。真冬にスタッドレスタイヤがなくても安心してドライブできる嬉しいスポットと言えるでしょう。
都心からも近く、高速道路を使えば東京駅周辺から1時間半ほどで到着します。
東日本大災害で津波被害を受けた九十九里
実は、千葉県は2011年の東日本大震災のときに津波の被害を受けた最南端の場所でもあり、死者も出ています。
あのときは東北三県(岩手、宮城、福島)に被害が集中したため、あまり報道されませんでしたが、イワシの漁で有名な九十九里町の片貝漁港周辺では、津波で漁協の建物や多くの民家が流されるなど、大変な被害を受けたのです。
そこで、九十九里海岸の津波対策事業予算として24億円をかけ(2012年の予算)、2016年から既存の有料道路を海抜6メートルまで上げる工事が始まりました。もしまた地震が来て大津波に襲われたとき、以下の図のようにこの道路を高くしておくことで防波堤の役割をさせようという狙いです。
道路自体をかさ上げするという大規模な工事でしたので、約1年8カ月間にわたって通行止めになっていましたが、昨年12月24日、ようやく全線開通。現在は新しくなった道路を爽快に走ることができます。
海をできるだけ間近に楽しみたい場合は、とりあえず北から南へ走行してみてはいかがでしょうか。海側の車線を走ることができます。
九十九里浜と海の景色が楽しめるのは白子インターチェンジのあたりまでですが、そこから一宮インターチェンジまでは、また雰囲気の違う松林の眺めを堪能することができます。
通行料金は420円(普通乗用車)。ETCはなく、ハイウェイカードは使えません。
北から南へ走る場合、一宮のドライブインでUターンして、白子出口で降りれば追加料金はかかりませんが、そのまま有料道路を北上すると、また料金所を通過することになるので、再度420円を徴収されます。片道でも十分景色を堪能できますので、どこで降りるか、あらかじめ計画しておくとよいでしょう。
また、有料道路上から海を見るだけでなく、途中、白子海岸や白里海岸で降り、砂浜を歩いてみるのもよいですね。周辺では白子の天然温泉のほか、冬はいちご摘みなども楽しめます。獲れたてのイワシやハマグリのお料理もおすすめですよ。
私も年末に開通したての「九十九里有料道路」を走ってきたのですが、今回のかさ上げ工事のおかげでグンと視界が広がり、以前に比べて海が遠くまでよく見渡せるようになりました。
三陸沿岸部には海の見えない高い防潮堤があちこちに建設されていますが、海の景色を楽しめるドライブウェイ式の防潮堤はなかなかよい発想ではないでしょうか。
ただ、海沿いの道はそれなりの心構えも必要です。
「九十九里有料道路」を走るときには雄大な海の景色を楽しむだけでなく、道路自体が大規模な津波対策であることを認識し、ぜひご家族とも万一の津波襲来についての心構えについても語り合っていただきたいと思います。