日本海の水温が記録的に高い この冬もドカ雪に備えを
青森県の酸ケ湯では27日、積雪が一時98センチに達した。強い寒気の影響で、北・東日本の山間部では記録的な大雪となっている。日本海の水温が高い状態が続くため、今後も短時間の激しい雪に注意が必要だ。
長野 初雪がいきなり大雪に
このところの強い寒気の影響で、雪が降り始めた途端に大雪となったところがあります。24日には北海道北部の幌加内町で、27日は岩手県宮古市区界(くざかい)や群馬県の草津町で記録的な積雪となりました。
また、青森県の酸ケ湯(すかゆ)では27日、積雪が一時98センチに達しました。その冬初めて積雪が1メートルを超えるのは例年、12月10日頃です。
そして、初雪がそのまま、まとまった雪になったところも。長野市では27日、平年より9日遅い初雪となりました。雪は夕方から強まり始め、午後8時には積雪が6センチに達しました。11月に積雪が5センチを超えるのは珍しく、1961年以降では今回を含めて8例です。最近では2016年11月24日の積雪12センチがあります。
急に雪が増えた理由のひとつは強い寒気です。こちらは27日正午の雲の様子です。日本海には一面、冬によく見られるすじ状の雲が広がっています。ただ、真冬の頃と比べると穴の開いた雲(蜂の巣状)が大きくて、ぼてぼてとした印象を受けます。厚みのある雪雲が発生したため、雪の降り方が強くなったのでしょう。
10月、日本海の水温が過去最高に
もうひとつの理由は日本海の水温です。大陸からやってきた冷たく乾いた空気は日本海でたっぷりと水蒸気を補給して、雪雲へと成長します。そのとき、日本海の水温が高いとより多くの水蒸気を得ることができるため、雪雲が発達し、大雪を降らせます。
先月(10月)は日本海と東シナ海の海面水温が1982年以降で最も高くなりました。気象庁の解析によると、10月は高気圧に覆われやすく、日差しが十分にあったこと、風が弱かったことなどで、記録的な高温となったそうです。
海面水温の高い状態は今も続いていて、日本海中部から北部にかけては平年より1度から2度くらい高くなっています。さらに12月中旬にかけても平年より高い状態が続く見通しです。
増える立ち往生事例
近年、短時間に降る大雪が市民生活や物流に大きな影響を及ぼす事例が増えています。昨年(2020年)12月も、群馬県から新潟県にかけての地域で一晩に1メートルを超える雪が降り、関越自動車道では長時間にわたり大型車などの立ち往生が発生しました。こちらは2010年以降の主な立ち往生事例をまとめたものです。
文字が多く、細かくて読みにくいのですが、車や列車が大雪で動けなくなるケースは主に1月、2月が中心です。しかし、12月から立ち往生が発生するケースもあり、2014年には四国の山間部を通る国道で、スリップ事故から動けなくなる車が相次ぎ、驚いた記憶があります。
来月1日から近畿・中国地方に「顕著な大雪情報」開始
これらを受けて、気象庁は「顕著な大雪に関する気象情報」を山形県、福島県(会津地方)、新潟県、富山県、石川県、福井県に加えて、12月1日より滋賀県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県で始めると発表しました。
温暖化の進行で、雪の降る日は年々少なくなっていますが、一方で、短時間に激しく降る雪は増えています。ひとえに温暖化といっても、現れる現象は単純ではない。社会の変化も見据えた対応が求められています。
【参考資料】
気象庁:海洋の健康診断表、臨時診断表 日本海、東シナ海で10月として記録的に高い海面水温、2021年11月1日
気象庁:海面水温・海流1か月予報、2021年11月19日
大阪管区気象台:「顕著な大雪に関する気象情報」の運用を開始します、2021年11月24日