意外と知らない?歩いて健康になる日帰り旅を楽しむ方法 歩く旅人が教える日程の組み方
日常の運動習慣や、生活習慣病の予防・改善、ダイエットなど、歩く事で健康管理を目指す方が多くなってきました。身近な公園や川沿いなどをウォーキングされている方々も多く見かけます。
全く運動習慣のなかった方でも週に2回、30分間のウォーキングを続けていると、個人差はありますが、徐々に体力がつくと感じてきます。体力がついてくると、日々のウォーキングだけでなく、もっと楽しむウォーキングとして日帰りの歩く旅はいかがでしょうか。
美しい田園に囲まれる景色の中、立派なお寺を巡礼して、仏様にお参りし、歴史がある繊細で美しい建物に魅了される。日常と離れる時間を持ち、心をリフレッシュする歩く旅として、埼玉県秩父にある秩父三十四観音霊場を、歩いて旅をする日程の組み方を通してご紹介します。
秩父三十四観音霊場(埼玉県)とは
秩父三十四カ所とは、埼玉県秩父地方にある34カ所の観音霊場の総称。ここを巡ることを、秩父札所巡りといいます。西国三十三所、坂東三十三カ所と併せて日本百観音に数えられ、その結願寺は秩父三十四カ所の三十四番水潜寺で、結願をしたら長野市の善光寺に参るのが慣例となっています。(Wikipediaより抜粋)
古くは1488年(2023年の535年前)には秩父札所番付の記録が残っており、室町時代後期には秩父札所が定着していたと考えられています。その後、江戸時代に入り観音信仰巡礼の風潮がおこり、江戸からの距離が近く、短い日数で費用も少なく巡礼ができ、関所(検問所)もないため、多くの江戸庶民でにぎわいました。江戸時代の旅人は観光を兼ねた神社への参拝目的であったり、寺社仏閣への巡礼にて極楽往生を願う旅であったともいわれています。
秩父三十四観音霊場では一巡の距離が約100kmです。何日かに分けて巡りますが、回る順序には決まりがなく、すべてを巡礼し結願をすると長野県の善行寺にお参りします。(この記事でご紹介の内容は札所一番より順番に巡礼しています)
歩く旅 日程の組み方
1、現地までの交通機関を決める
埼玉県秩父は観光地として有名であり、西武秩父駅を拠点としてバスや電車があります。西武秩父駅へは東京・池袋駅から特急で約80分に乗るのが便利ですが、JR高崎線から熊谷駅で秩父鉄道に乗り換えていく方法もあり、大宮駅から約2時間です。
西武秩父駅から1番の札所のお寺までは約6.2kmで歩いて1時間30分程の距離があるので、この区間はバスを利用します。バスで23分間、料金は326円(現金:330円)です。
2、歩く距離と区間を決める
ご自身の体力に合わせて歩く距離と歩く区間を決めます。歩く距離についてはどのくらいが良いのかと迷うのですが、せっかくなので10kmは歩きたいと思います。今回の霊場巡りでは、比較的短い距離に霊場が多くある区間なので、1番のお寺から7番のお寺までの約10.7km、そしてスタート地点とゴール地点までの距離を足します。スタート地点まではバスで移動し、最終の7番のお寺からは、最寄り駅の西武横瀬駅までのAコースと、少し遠くの西武秩父駅までのBコース(約13.5km)を計画します。Aコースで計画し、時間に余裕があり、もう少し歩きたいと思う時にBコースに変更するようにします。
- Aコース:西武横瀬駅まで 総距離約12.2km
- Bコース:西武秩父駅まで 総距離約13.5km、
3、休憩場所とお手洗いの確認
比較的町中を歩くことや、札所のお寺にはお手洗いがあり使わせて頂けるので、今回のコースでは心配ないと思われます。昼食に関しては、大きな通りに出れば飲食店がありますし、心配であればおにぎりやお弁当を持参して、お寺のベンチでいただくこともできます。
4、所要時間を計算する
歩く距離が決まったら所要時間を計算します。普段のウォーキングでは30分間で時速4kmから5kmで歩かれている方が多いと思いますが、歩く旅では距離が長くなることや、初めて歩く場所であったりするので、思う以上に時間がかかります。それに加えて、立ち寄るお寺での参拝や拝観、御朱印をいただいたりもするので休憩時間も必要です。日程は、早く終了しても良いので、遅くならないように計画した方が良いです。休憩も含んで全日程を5時間から6時間とします。
5、最終の当日の日程を決める
このコースではバスの本数が少ないので、逆算して日程を決めます。西武秩父駅から一番目の札所のお寺までのバスの時刻表を確認します。そうすると、平日は9時25分発、土日は10時00分発です。乗り遅れられないので、このバスに乗れるように西武秩父駅に余裕をもって到着します。
外部リンク:西武バス 西武秩父駅 定峰行き、定峰入り口行き時刻表
外部リンク:西武バス 西部秩父駅 皆野駅行き時刻表
外部リンク:西武鉄道 横瀬駅時刻表(駅探)
外部リンク:西武鉄道 西武秩父駅時刻表(駅探)
6、当日の持ち物と準備
服装は動きやすい服と履きなれたスニーカーで十分です。しかし、長い距離を歩くときの注意点があります。靴に関しては長い距離を歩くので靴底にクッション性があっても良いと思いますが、必ず履きなれたものにしましょう。服は、歩いていると体が温まり暑くなることがありますので、着脱がしやすい物が良いです。
地図やスマフォ、パンフレットを確認したりすることが多いので、かばんは両手が自由になるリュックが良く、使い慣れたもので大丈夫です。途中で買い物をしたり、脱いだ服を入れたりすることもあるかもしれないので、大き目サイズが良いかもしれません。
今回のルートではコンビニエンスストアや自販機があるので大丈夫かもしれませんが、水分はたっぷり持参しましょう。おやつも持っていると心強いですよ。
7、その他:資料請求
秩父札所巡りの地図やパンフレットは秩父札所連合会ホームページより資料請求できます(無料)
外部リンク:秩父札所連合会ホームページ(資料請求)
一日で7カ所の札所を巡るので、内容は盛りだくさんになりますが、札所と札所の間を歩くときにはしっかりとペースを保って、運動も楽しんでくださいね!
それでは、各札所のお寺をご紹介します。
お天気が良い日でしたので、写真だけでも楽しんで頂けますと幸いです。
一番 四萬部寺(しまぶじ)
秩父三十四所観音巡礼の発願の地。聖観世音菩薩を御本尊とする曹洞宗のお寺です。
写真、向かって中央左寄りに写っている仏像は、「お里帰りのお釈迦様」と言われており、明治時代に突然行方不明になってしまってしまいました。行方不明の間には戦争の時代があり、お寺に残されていた他の8体の仏像は国家に強制供出されてしまいました。時が流れて約70年後、東京銀座の美術展で発見され、浄財にて買い戻され無事にお寺に戻れたお釈迦様です。享保18年(1733年)に造られているので、2023年の290年前、江戸中期、将軍は8代将軍徳川吉宗の頃です。
※こちらの納経所には巡礼用品がいろいろとそろえられています。
※一番四萬部寺より二番真福寺までは約2.1 kmなのですが、二番目の真福寺が山の上にあり、標高350m程の場所までの登りになるので50分から1時間ほど時間がかかります。
二番 真福寺(しんぷくじ)
山を登った頂上付近にあり、とても眺めが良いお寺で、お堂の彫刻はとても繊細で素晴らしく見入ってしまいます。本堂に上がる手前には、比較的新しく大きな大棚救世観音がまつられており、観音様の後ろの岩の崖には圧倒される迫力があります。反対側の崖にもお地蔵さまが並んでいます。こちらには常駐の御住職はいらっしゃらないので、御朱印はふもとにある光明寺でいただきます。
真福寺からは1番のお寺と反対側に山道を降りていきます。車道もありますが、歩く旅では昔の巡礼道を歩いて進んでいきます。
※次の三番のお寺までの区間距離は約2.5kmです。
三番 常泉寺(じょうせんじ)
お寺のご住職が重い病気で寝ていた時、夢の中で観音様より「境内の水を服用せよ」とお告げがあり、境内の水を飲に病気が治ったと言われています。現在では境内に長命水と言われる井戸があり、そのそばにお地蔵様がまつられています。井戸の水を飲むと病気がなおり、長命のご利益があるとされており、この場で飲んだり水筒に入れて持ち帰る人もいるそうです。
また、本堂の縁側に母親が子を抱いているような珍しい形の子持ち石といわれる石があり、子授けの御利益があると言われています。
※一番目のお寺より、ここ三番目のお寺までの合計の距離は約4.6kmです。次の4番のお寺までの区間距離は約1.4kmです。
四番 金正寺(きんしょうじ)
金昌寺の正面にある二階づくりの立派な仁王門には、札所で一番大きい仁王様がまつられています。健脚の神とも信仰されているため、草わらじが奉納されており、左右の柱に約2mの大きな草わらじがかけられています。こちらのお寺は1300余体の数の石仏があり、石仏の寺としても有名です。あまりの石仏の多さに圧倒されます。
石仏は寛永元年(1624年)、当時のご住職が天災などによる犠牲者の供養と寺の興隆のために石造千体仏安置を発願し7年かけて成就したとあります。(ジオパーク秩父より引用 下記にリンク記載)
また、1783年に浅間山が大噴火し、関東一帯に火山灰が降り積もるとともに火山噴出物により太陽光を遮られ冷害にもなり、農作物に大きな影響を与える深刻な事態となってしまいました。金昌寺のご住職が千体の石仏安置を願い出たところ、全国から石仏が集まったともいわれています。(外部サイト:札所巡り 札所4番金昌寺)
お寺の奥の院は山肌の大きな岩室にあり、弘法大師がまつられています。岩からは清水が絶え間なくポタポタと流れ出ており、厳粛な雰囲気の清らかな空気に覆われています。
この近くに「不整合」と呼ばれる珍しい地層があります。不整合とは二つの層の間に明らかな時間の不連続が認められる地層です。
下にある斜めになっている地層が約8500万年から6500万年前で、上にある層が約1500万年前のため、5000万年から7000万年間は地層が積み重なりませんでした。地層は海底で積み重なるので、地層が積み重ならなかった間は陸地だったことがわかります。
五番 語歌堂(ごかどう)
朱塗りの仁王門と同じく朱塗りの正方形で細やかな豪華な装飾がある立派な建物の語歌堂です。和歌を親しむのが好きな方が建てたと言われています。建物は文化年間(1804年から1818年)江戸末期に、地元の若い大工により建てらているので、2023年の約220年前の建物です。
こちらもご住職が常駐されていないので、御朱印は長興寺でいただきます。
5番から次の6番までは区間距離約2.7kmを歩きます。
途中は秩父地域のシンボルの山である武甲山を正面に、田園風景の中を歩き進みます。
六番 卜雲寺(ぼくうんじ)
卜雲寺は少し坂を登った小高い場所にあり、見晴らしがとても良く武甲山が良く見えます。本尊は札所開所時に武甲山山頂にある蔵王権現より移されました。武甲山山頂にはかつて蔵王権現社が本社としてまつられていましたが明治時代に武甲山御嶽神社に改称されています。
1番のお寺を出発して6番のここまでの距離は約10kmです。6番から7番の法長寺までは約0.7kmです。
七番 法長寺(ほうちょうじ)
小高い山より下り、民家を抜けて歩くと七番法長寺があります。本堂は秩父札所最大の規模であり、平賀源内の原図を基に設計されたと言われています。
お寺は御詠歌にも「…牛伏」とうたわれており、牛に関する言い伝えがあります。ある時草刈りをしていると牛が現れて座って動かなくなったので調べてみると草の中に観音様を発見しお堂にまつった。他には、平将門と戦ってやぶれ、後に牛の子に生まれて苦しんだ。その人の妻が尼になり観音様に使えてると苦しみが無くなった。など、諸説があるようです。
参考 <外部リンク>
秩父札所連合会 秩父札所三十四観音霊場ホームページ
秩父観光協会 ぶらっとちちぶ
札所巡りホームページ