国会議員の車が「無車検」で当て逃げ 言語道断の行為、あなたのクルマは大丈夫?
そんな当て逃げ事故のニュースが一斉に報じられました。
武井議員を乗せた車が当て逃げ=秘書運転、車検切れ疑いも―警視庁 (msn.com)
報道によると、6月8日午後6時過ぎ、東京・六本木の交差点で、武井議員の男性公設秘書(60代)が運転する車が左折時に自転車と衝突。車がその場で停止しなかったため、自転車の男性が追い掛けて車を止めたというのです。
これだけでも十分にショッキングな出来事ですが、なんと、武井議員が乗っていた車は車検が約2カ月、自賠責保険が約1カ月切れた状態だったというのですから、驚きを通り越して唖然としてしまいます。
■無車検・無保険の車に息子の命を奪われた父の思い
「こうしたニュースを目にするたびに、息子の事故を思い出し、心が痛みます。車は凶器にもなりうるというのに、あろうことか、国会議員の車が車検も受けずに走っているなんて、あまりにも人の命を軽視しているのではないでしょうか」
そう語るのは、名古屋市の眞野哲さん(59)です。
眞野さんは10年前、大学生だった長男の貴仁さん(当時19)を交通事故で亡くしました。貴仁さんは自転車で横断歩道を横断中、事故を起こして逃走中の車に衝突され、ほぼ即死の状態だったそうです。
「実は、息子をはねた加害者も無車検で、車には自賠責保険もかけていませんでした。社会の中で義務付けられている車の点検や賠償保険のルールを守れないような人は、安心・安全を守る意識が低いと言わざるを得ません。今回は幸い、被害者に大きなけがはなかったようですが、うっかりしていた、とか、気づかなかった、という弁明が通じる話ではないでしょう」(眞野さん)
共同通信などの記事によると、武井議員は、
と話しているということです。
しかし、ディーラーや保険会社からは、事前に何らかの連絡があったはずです。秘書に運転をさせた理由は、しっかり検証されるべきでしょう。
■車検切れ、自賠責保険未加入の罰則は?
では、今回のような違反をした場合、運転者にはどのような罰則が科せられるのか、気になる人も多いことでしょう。早速、チェックしておきましょう。
まず、原付バイクや250ccまでのバイク等の場合、車検がないため自賠責保険の継続契約をうっかり忘れてしまうケースが少なくありません。
国土交通省のサイトには、以下のような注意書きがあります。
<自賠責保険(共済)に未加入で運行した場合>
次に、車検のある車の所有者は以下をご覧ください。
<車検切れで公道を走った場合>
●6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
●違反点数6点、30日間の免許停止処分
<車検が切れ、自賠責保険も切れた状態で公道を走った場合>
●1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金
●違反点数6点、免許停止90日間
車検の有効期限が過ぎると、ほとんどの場合、自賠責保険も切れています。ダブルの違反となると、かなり重い罰則となりますので十分に注意してください。
この機会に、ぜひ車検の満了日を確認してみてください。
■自賠責をかけないまま事故を起こしたら、被害者への賠償はどうなる?
自賠責保険に未加入の車が人身事故を起こした場合は、「被害者救済」という観点から、とりあえず国土交通省が、加害者や自動車の所有者に代わって自賠責から支払われるべき損害を被害者に支払います。
ただし、それはいわゆる「立替払い」であって、国土交通省は本来支払わなければならない加害者に対して、「求償」を行います。
もし、加害者に賠償能力がなく、弁済がなされない場合は、国が加害者を相手に裁判を起こして損害賠償を請求し、最終的には土地や建物、車や給与などが差し押さえられることになります。
自賠責保険をかけないまま、万が一人身事故を起こしてしまうと、財産をすべて失うことにもなりかねないということです。
損害額が自賠責保険の上限を上回る場合は、被害者側からさらに賠償請求されることになります。自賠責保険はもちろんですが、必ず上乗せの任意保険もかけておくことを忘れないでください。
■無車検・無保険の車を発見したらどうする?
車検の有効期限は、車のフロントガラスに貼ってあるステッカーを見れば一目でわかるようになっています。供用車や他人の車を借りて乗る場合は、運転の前に車検の有効期限をチェックする癖をつけておきましょう。
しかし、日本には無車検の車がかなり存在するとみられており、筆者の元にも時折、「近所の人が無車検のまま車に乗り続けていて危険なのですが、どうしたらよいでしょうか……」といった深刻な相談が寄せられることがあります。
そんな時は、国土交通省の『無車検車・無保険(共済)車通報窓口システム』を活用してみてください。
同サイトでは、「通報窓口」を設け、以下のように呼び掛けています。
期限が切れているのを知っていながら車検を受けない人もいますが、その一方で、出産や病気、災害、引っ越しなど、突然、生活パターンが変わってしばらく車に乗らない時期が続くと、うっかり車検の時期を見逃してしまうことがあるかもしれません。
とにかく、車検切れ、自賠責保険切れで自分自身が通報の対象にならないよう、十分に気をつけてください。
事故を起こさないための車両整備(車検)、そして、万一のときの被害者救済(保険)までを想定して初めて、安全な運転が意識できるのではないでしょうか。