Yahoo!ニュース

湘南の勝利と川崎の逆転負け。Jリーグ最終節に起きた日本的事件

杉山茂樹スポーツライター

浦和レッズが年間チャンピオンに輝いた今年のJリーグ。ご承知の通り、名古屋はその結果2部に転落。大きなニュースになったが、それ以上に驚かされたのは、この試合で名古屋を3−1で倒したアウェイチームだ。

湘南ベルマーレは、10月22日(セカンドステージ15節)、2試合を残した段階で、早々と降格を決めていた。続く16節のホーム戦(対甲府)で勝利したのは、J1最後のホーム戦だったので、妥当性を見いだせるが、続く最終17節のアウェイ戦にも勝利を収める姿を見せられると、不思議な気持ちに襲われる。15節まで僅か1勝しか挙げられなかったチームが、降格を決めた瞬間、2連勝を飾るという事実を突きつけられると、混乱せずにはいられなくなる。

最後まで頑張ろうとする姿を美しいと思わないのかーーと、突っ込みを入れられそうだが、ならば、なぜもっと早くから別の意味の美しさを発揮しなかったのか。湘南にとってこの最後の2試合は完全な消化ゲーム。終了後、選手の入れ替わりも必至なので、来季に直結するとも思えない。外国のリーグではまず起こりえない話。根拠のないその頑張りに、変に真面目な日本的気質を見た気がする。

だが、それ以上の驚きは、最終戦における川崎フロンターレの敗戦だ。対ガンバ大阪とのホーム戦。2−0でリードしていながら、2−3で逆転負けした一戦だ。

この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

杉山茂樹の最近の記事