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営業活動における正しいスケジューリングを、「岩と小石と砂の話」を使って解説する 【法人営業大学】

横山信弘経営コラムニスト
(写真:shutterstock)

■仕事を「やってる感」がある割には結果が出ない時代

課長になってから出席すべき会議が3つも増えた。業績低迷を説明する資料を細かく作れと、本社から言われるようになった。本業の営業活動で忙しいのに、そんな暇があるかと毎日愚痴を言っている。

どうしたらいいのか?

最近は、こんな悩み相談ばかりである。相談者の大半は営業の責任者。営業部長や営業課長だ。経営者からも同様の悩みを聞く。

こういう相談を受けると、すぐに思いつくのは、有名な「岩と小石と砂の話(Rocks, Pebbles and Sand Story)」である。

どんどん新しい仕事が入ってきて、対応に追われている。その割には、まるで成果に繋がっていない。そんな悩みを抱えている人は、この有名な「岩と小石と砂の話」を参考にスケジューリングすべきなのである。

そうすることで、ストレスなく仕事を片付けられるようになる。何が重要で、何が重要でないのか。その判別がとてもわかりやすいからだ。

実際にこの話は、名著『7つの習慣』の「第3の習慣――最優先事項を優先する」でも紹介されている。世界中の人たちがこの発想をビジネスや人生設計に役立てているのだ。

■「岩と小石と砂の話」とは何か?

それでは、そもそも「岩と小石と砂の話」とはどんな内容か? 初めて知る人のために、簡単に説明しよう。

大きさの異なる石、砂、水を瓶に入れようとしたとき、どの順番で入れるか?

理想は、

岩 → 小石 → 砂 → 水

という順番だ。こうすることで、限られた瓶のスペースに隙間なく入れられるようになる。

いっぽう、小石 → 砂 → 岩 → 砂 → 岩 → 水、という風に行き当たりばったりで入れていくと、隙間があるにもかかわらず、すぐ瓶がいっぱいになる。

石の大きさは、重要度の大きさに比例していることも大事なポイントだ。

自分にとって本来重要なことができず、目の前の些細なことに振り回されている人は、「石を入れる順番」を見直したほうがいい。

いつも「いっぱいいっぱいです」と言っている人はとくにそうだ。場当たり的にスケジューリングしてないか、常に立ち止まって考えてみよう。

ポイントは、岩(大きな石)を先に入れることだ。

小石を先に入れてしまうと、大きな石を入れるスペースが減る。小石を【20】入れることができても、大きな石が【2】つしか入れられない。こんな事態になりかねない。

■営業活動における正しい「石」の入れ方

それでは、営業活動においてはどうすればいいか?

岩(大きな石)は、ポテンシャルの大きな既存のお客様に対する働きかけだ。

理由は簡単だ。80%の利益は20%のお客様からもたらされているものだからだ。パレートの法則(80:20の法則)でも言われている。

したがって、一部の重要なお客様に対し、しっかり支援すること。お役立ちすること。「カスタマーサクセス」こそが大きな石であり、そこからスケジューリングするのがセオリーだ。

小さな石は、ポテンシャルの大きな見込み客に対する働きかけだ。

確率は高くないが、このような重要な見込み客への支援、お役立ちをしないと、未来の重要顧客を増やすことができない。

まさに「リードナーチャリング(見込み客育成)」的な仕事が小さな石だ。

砂は、お客様に対する提案、交渉、説得、クロージングだ。

大きな石、小さな石がしっかりあれば、砂は少なくても受注は増える(受注額が増える)。

最後に入れる水は、社内会議や資料作成、メール処理の時間だ。これらは隙間の時間にスケジューリングすることが鉄則である。

■できない営業のスケジューリング例

できない営業は、この反対の手順でスケジューリングしてしまう。正しい手順を知らないからこうなるのだ。

すると大変だ。

まずは社内会議や資料作成、メール処理で時間を使う。

瓶にまず水を入れてしまうのだ。これでは石や砂を入れる余地が最初から制限されてしまう。

こうなると営業は、次に砂を入れることになる。

お客様に対し、手当たり次第に連絡して売込みや説得をはじめるのだ。当然こればかりやっていると疲弊してしまう。

日ごろから重要なお客様、見込み客に対するケアをしていないので、関係ができていない。

関係ができてもいないのに、提案、交渉、説得、クロージングをするので、お客様から嫌がられることになる。

すると当然結果が出ない。結果が出ないと、組織は原因追及のために会議出席や資料作成を命じることになる。つまり、また瓶に水が注がれることになる。

水と砂でいっぱいになった瓶に、大きな石や小石を入れるスペースはない。だから毎日バタバタしていて「やってる感」がある割には、結果が出なくなるのだ。

だからこそ、今一度、この有名な話を思い出そう。「岩と小石と砂の話」をもとにスケジューリングすべきなのである。社内の人間、社外の人間に振り回されやすい営業はとくにそうだ。

従業員のワーク・ライフ・バランス、お客様の生涯価値(ライフ・タイム・バリュー)が重要視される現在、このスケジューリングができるよう、営業戦略から見直すべきだ。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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