中秋の名月が台風で見られない時は危険
中秋の名月
10月4日は旧暦8月15日、中秋の名月の日です。毎年、澄んだ夜空に浮かぶ中秋の名月を楽しみにしている人も多いと思います。
旧暦では、1月から3月を春、4月から6月を夏、7月から9月を秋、10月から12月を冬とし、この春夏秋冬を、「初」「中」「晩」に細分していました(表1)。従って、8月は「中秋」で、その真ん中の日、15日に見る月が「中秋の名月」です。
中秋の名月の頃は、秋雨前線や台風によって月を見ることができないことが多いのですが、待ち望んだ晴れた日、秋特有の澄み切った空に昇る丸い月は綺麗で、収穫の季節と重なることから、芋などの収穫物を供える風習ができたと思われます。
今年は大きな移動性高気圧に覆われますので、ほぼ全国的に名月を見ることができそうです(図1)。
これには、今年の中秋の名月の日が、久しぶりに10月にずれていることも大きいと思います(表2)。10月上旬は、9月中・下旬より、秋雨前線や台風の影響を受ける可能性が小さいからです。
高潮
海面は、月の引力によって満潮と干潮を交互に起こしています。この潮位の変化を「潮汐」といいます。満月と新月のときには、太陽と地球と月が一直線上に並び、月の引力の影響が大きくなって満潮が高くなる大潮になります。
また、台風等の気象条件によって海面が天文潮(通常の干満の潮位)より著しく上昇することを高潮といいます(図2)。
1メートルの高潮は、潮位が天文潮よりも1メートルも高いという意味です。干潮のときに高潮が起きても、潮位は満潮のときより低いことがあります。潮位が一番高くなるのは、大潮でかつ満潮のときの高潮です。
中秋の名月の頃は、必ず大潮です。しかも、秋は潮汐の変動が大きい時期ですので、台風によって中秋の名月を見ることができないときは、大きな高潮の可能性が高いとき、高潮被害の危険が高いときです。
今年の中秋の名月は、台風の心配はありませんが、「中秋の名月のときは高潮に注意」は迷信ではありません。
また、10月の高潮発生回数は9月に次いで多いので、8月以上に高潮に警戒しなければなりません(図3)。
表の出典:著者作成。
図1、図3の出典:気象庁ホームページ。
図2の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。