少しずつ春の足音が聞こえ始め、そろそろ温泉旅行の計画を立てようと考えている人も多いのではないだろうか。

温泉旅行の楽しみのひとつといえば、温泉街の散策である。風情のある街並みを浴衣を着て、下駄を鳴らして歩けば、忘れがたい思い出となる。

お土産さんを覗いたり、寺社仏閣をお参りしたり、湯巡りを楽しんだり……気ままにそぞろ歩きを楽しめる温泉地が理想である。

そこで、今回は街歩きが楽しい温泉地を5カ所紹介したい。

黒川温泉（熊本県）

静かな山間部に30軒ほどの宿が並ぶ。遊興施設などはないが、日本の原風景ともいえる里山の風景が広がる。ほとんどの宿が風情あふれる露天風呂をもつ。「入湯手形」を購入すれば、宿泊する旅館以外の露天風呂を湯めぐりすることも可能だ（日帰りも可）。浴衣姿で湯巡りをするのが楽しい温泉地である。

渋温泉（長野県）

渋・湯田中エリアは10以上の温泉地がひしめく一大温泉郷。その多くに共同浴場が存在する。なかでも渋温泉街の石畳は情緒あふれる。９つの共同浴場をめぐる「外湯めぐり」が名物で、宿泊客は自由に入浴できる。浴衣姿の入浴客がそぞろ歩きを楽しむ光景も絵になる。

城崎温泉（兵庫県）

関西を代表する温泉地。大谿川沿いの柳並木と木造の建物が風情をかもし出す。写真映えするスポットも多い。街全体をひとつの旅館と見立て、外湯をめぐるのが城崎温泉のスタイル。浴衣のまま個性豊かな７つの外湯を巡る人でにぎわう。飲食店やお土産さんなどが立ち並ぶので、気になるお店を覗きながら歩くのも楽しい。

有馬温泉（兵庫県）

関西が誇る名湯・有馬温泉は歴史が深いうえに、アクセスがよいので訪れる客も多い。赤茶色の湯はパンチが効いた濃厚湯。各旅館のほか共同浴場「金の湯」で堪能できる。細いつづれ折りの坂道が続く湯本坂は、昔ながらの風情を残す石畳の通りで、浴衣姿での散策が絵になる。飲食店は多いので、気軽に素泊まりで滞在して外で食事をするという手もあり。

野沢温泉（長野県）

標高600ｍに位置する情緒あふれる温泉街には、旅館や土産物屋、飲食店などが並び、徒歩での散策が楽しい。温泉街には、高温の源泉が湧き出す麻釜などの散策スポットのほか、13の外湯が存在し、無料で利用できる（賽銭箱はあるので寸志は入れよう！）。浴衣姿で外湯めぐりを楽しむ人も少なくない。