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混雑とは無縁!「ひとり旅で訪ねたい穴場の温泉地」5選(東北編)

高橋一喜温泉ライター/編集者

冬の足音が聞こえてくる季節、温泉のぬくもりが恋しくなる。温泉を目的とした旅を計画している人も多いだろう。

全国津々浦々に温泉は湧くが、目的地を決めるのは意外と難しい。特にひとり旅の場合、観光客の多い温泉地を選んでしまうと、疎外感や孤独を感じてしまう事態も……。しかも、近年は温泉地にもインバウンドの波が押し寄せ、「温泉でゆっくりする」という目的を果たせない事態もあり得る。

そこで、ひとりでの温泉旅(ソロ温泉)では、外国人観光客はもちろん、日本人にもまだあまり気づかれていない「穴場」を目指したい。

今回は、筆者がこれまで巡ってきた3900湯の中から「ひとり旅で訪ねたい穴場の温泉地」を東北エリアに絞って5カ所紹介しよう。

小野川温泉(山形県)

山形県では銀山温泉に外国人観光客が殺到し、入場規制がかかることがニュースとなっているが、同県には他にも魅力的な温泉地がたくさんある。米沢市の奥座敷として栄えてきた小野川温泉は、地名が小野小町に由来するほど歴史も深い。温泉街の端から端まで5分ほどで歩ける規模であるが、旅館や土産物店が並び、湯の街らしい風情が漂う。名物のラジウム玉子や温泉まんじゅうの食べ歩きも楽しい。中心に位置する共同浴場「尼湯」は、アツアツの湯が源泉かけ流し。塩分のきいたよく温まる湯である。ひとりでゆっくり過ごすのに適した温泉地だ。

下風呂温泉(青森県)

下北半島北端、津軽海峡に面した港町の温泉地。最果ての温泉地といった風情がひとり旅をさらに味わい深いものとしてくれる。おもに3つの源泉があり、いずれも乳白色が美しい濁り湯。どの温泉施設もかけ流しである。日帰り温泉の「海峡の湯」では、2つの硫黄泉「大湯」と「新湯」を同時に楽しめる。イカやホタテ、ウニ、あんこうなど海産物も美味。歓楽的スポットは皆無だが、ひとりで湯とグルメをひたすら堪能するにはぴったりの湯街である。

川渡・東鳴子温泉(宮城県)

鳴子温泉郷の一角を占める川渡温泉は田畑に囲まれたのどかな温泉地で、湯治場の素朴な風情が魅力。散歩をしていると、日本人なら「なぜかなつかしい」と思える風景に出合える。観光地として人気の高い鳴子温泉ほど、日本人の観光客も多くなく、静かなが時間が流れている。リーズナブルな湯治宿も健在で、ひとり旅や湯治の初心者にもおすすめ。うぐいす色の濁り湯も気持ちいい。なお、近くにある東鳴子温泉は川渡とは特徴の異なる源泉が楽しめるだけでなく、落ち着いた湯治場でひとりでも心地よい。

肘折温泉(山形県)

人気を集めている銀山温泉とは比較的近いエリアに湧く肘折温泉は、伝統的な湯治場で、まだ外国人観光客にバレていない。レトロな温泉街は、車がすれ違うのも困難な細い通りに旅館や商店がびっしりと連なる。昔からの街並みがそのまま保存されている証拠だ。長期の湯治客が多いのも特徴で、日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつで、浴衣姿で買い物をする湯治客の姿も見られる。小規模な宿が多く、ひとり客でも予約をとりやすいのが魅力だ。

大鰐温泉(青森県)

温泉街を貫くように流れる平川沿いに、住宅などに混在する形で旅館や共同浴場が立ち並ぶ。特別な温泉情緒がある街ではないが、どこか実家に帰ってきたような、ほっこりさせる懐かしさがある。この地でしか食べられない大鰐温泉もやしは、ぜひ一度は味わいたい名物である。大鰐温泉までは鉄道が延びているため車以外でもアクセスしやすいが、観光客で混雑することはほとんどない。中小規模の温泉が点在しており、ひとり客でも予約はとりやすい。

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温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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