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低迷期は「ラグビーが止まっていた」? リーチ マイケル14季ぶり国内Vへ 【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
取材に応じるリーチ(筆者撮影)

 国内リーグワン1部のプレーオフが5月18日からおこなわれる。2季ぶりの出場で旧トップリーグ時代の2009年度以来となる日本一を目指す東芝ブレイルブーパス東京は5月10日、公開練習をおこない、主将のリーチ マイケルが取材に応じた。

 日本代表として2度のワールドカップで主将を務めた35歳(出場は4回)。新戦力を携えて臨む大一番へ、必要項目をシャープに整理していた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——ブレイブルーパスで優勝を知る現役選手はいません。

「この5年間(トッド・ブラックアダーヘッドコーチ体制が始動してから)の積み重ねがいい。昔、優勝した時のメンバーは(スタッフを含めても)少なくなっているし、あの時といまとではラグビーも変わっている。いまいるブレイブルーパスの選手、スタッフで優勝し、いい流れを作っていきたい。若い選手もたくさんいるし、継続的に強い東芝でいたい」

——優勝から遠ざかっていることはデメリットにならないか。

「パナソニック、サントリーには優勝を経験しているスタッフ、メンバーがたくさんいる。差を感じるところがあります。ただ、逆に初めての優勝へのわくわくは上回っている」

——本格化する準備については。

「気をつけないといけないのは、本当に確認事項が多く増えすぎてメインのところからフォーカスが離れること。そこは、ちゃんと注意してやりたいです。選手だけではなくスタッフも『あれも、これも』となっちゃうから、トゥーマッチの時はちゃんと言おうかなと。いまのところは、すごくいい関係で前に進めていると思います」

——リーチさんが選手に伝えたいことは。

「プレッシャーをどれだけ楽しめるか、と伝えたい。プレッシャーがあったほうが、色々なことを考えられるし、アンダープレッシャーでのパフォーマンスを成長させられる。あとは、落ち着いて判断していきたいです」

——主将として振り返るレギュラーシーズンは。

「精神的な疲れはなく、主将としても最初(約10年前)になった頃よりもいまのほうが自信はついている。周りをよく活かすのが大事なポイントでした。あとはスタッフ陣とよくコミュニケーションを取って、事前に準備したほうが結果に繋がる。

 アタックはリッチー(・モウンガ=新加入の司令塔、ニュージーランド代表経験者)に全部を任せられるし、僕はディフェンスに少しずつ入っていて、ただ、セットプレーは(フッカーで副将の原田)衛が。今週、僕はあまりしゃべり過ぎないように気をつけたいです」

——準決勝の相手は、レギュラーシーズンで2度制したサンゴリアスが相手です。

「前回のサントリーとは違うと予測しないといけないです。2回、戦って、負けた後のサントリーが一番、怖い。何してくるかわからないし、ちゃんと準備しないと」

——ブレイブルーパスのカルチャーは。

「昔から皆が仲良くて、上下関係も厳しくない。チーム内の愛情が強く、それがチームの強み。スタッフとの関係はさらによくなっている」

——一時、低迷期もあった。

「明らかに現代ラグビーと過去のラグビーとの間で止まっていた。昔、東芝のやっていた強みが他のチームに通用しなくなった。あとは準備。そこが一番、苦しかったですね。世界のラグビー(が発展するなか)東芝のラグビーが止まっていた。方法も違った。もっと頭を使わなきゃいけなくなってきたなか、真っ向勝負ばっかりでは勝てない。パナは真っ向勝負も強く、頭もよく、キックも使う。新しいコーチ陣が入ってきて、東芝のラグビーは変わりました。ただ、大事な部分——コンタクトのプライド——は変わらずにありました」

 親会社の不適切会計が広く報じられた翌年度、トップリーグで16チーム中9位と低迷。以後、不振にあえぎ、18年度は11位だった。

 20年から現体制を発足させ、段階的に強化。今季はモウンガら大物の補強で追い風を作り、現在に至る。

 理にかなった攻撃布陣および球の動かし方、何より伝統的な部是である接点でのファイトが期待される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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