ビッグイヤーの渇望。補強と刷新、連覇を目指すマンチェスター・シティを襲うジレンマ。
再び欧州の頂に立つために、前進している。
マンチェスター・シティは昨季、チャンピオンズリーグで優勝。悲願のビッグイヤー獲得を果たした。今季もラウンド16でコペンハーゲンに先勝しており、上位進出の可能性は高い。
一方、タイトルを獲得した後の難しさというのもある。「我々は勝利を目指すだけだ」とは昨年12月にクラブ・ワールドカップを制した後のジョゼップ・グアルディオラ監督の弁だ。
「我々の仕事は終わった。なので、この章を締め括り、クリスマス休暇に新たに真っ白なノートを買って、また歴史を綴っていきたい」
■補強と刷新
シティは今夏、アイメリック・ラポルト、リャド・マフレズ、イルカイ・ギュンドアンが退団した。他方で、ジョシュコ・グヴァルディオル(移籍金9000万ユーロ/約144億円)、マテウス・ヌネス(移籍金6200万ユーロ/約99億円)、ジェレミー・ドク(移籍金6000万ユーロ/約96億円)、マテオ・コバチッチ(移籍金2910万ユーロ/約46億円)を獲得。戦力を整えた。
ただ、新戦力の適応は時に困難を伴う。とりわけ、ギュンドアンの抜けた穴は大きかった。
「彼らは異なる選手たちだ。コバチッチは、よりボールを持つタイプで、ギュンドアンのようにペナルティーエリアに入っていく選手ではない」と語るのはグアルディオラ監督である。
「ヌネスはまた違ったクオリティを備えている。エリア内に侵入していく力はある。だが、ギュンドアンのインテリジェンスというのは、簡単に見つけられるものではない」
またシティは今季、プレミアリーグ開幕節バーンリー戦でケヴィン・デ・ブライネが負傷。それがチームを苦しめた。
昨季、シティで得点源になったのはアーリング・ハーランドだ。公式戦53試合で52得点をマーク。シティの3冠達成に大きく貢献した。
だがハーランドを輝かせていたのはデ・ブライネだった。昨季、公式戦49試合で31アシストで、攻撃をクリエイトする役割を担っていた。
■司令塔の復帰 無敗の日々
デ・ブライネは1月7日にFAカップのハダースフィールド戦で復帰した。およそ149日ぶりにピッチに立った。
デ・ブライネの復帰は大きかった。彼が戻ってきてから、シティは12試合無敗を維持している。
「これは、おとぎ話ではない。今季、再び3冠を達成するのは、99.99%不可能だ。我々は、一度もそれを達成したことがない。その可能性は変わらない」
「過去の成功は我々に何も保証してくれない。ただ、カップ戦で生き残り、リーグ戦で上位にいることには、満足している。5月の時点で、全てのタイトルを獲得する可能性を残す。その感覚で3月と4月を戦えるように、と考えている」
これはグアルディオラ監督の言葉だ。
シティは昨季、2月から5月にかけて、25試合無敗を維持した。20勝5分けという戦績で、ラストスパートを決めた。
だがグアルディオラ監督は慎重な姿勢を崩していない。大いなる野望と冷静さを併せ持つ指揮官が、淡々と勝利への道筋を探っている。