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古江彩佳のメジャー初Vに韓国ゴルフ界は“戦々恐々”?「韓国に追いついた日本、コルダの対抗馬に」

金明昱スポーツライター
エビアン選手権でメジャー初優勝を飾った古江彩佳。韓国もその強さに注目している(写真:アフロ)

 女子プロゴルファーの古江彩佳が、米女子ツアーのメジャー第4戦「アムンディエビアン選手権」の最終日に1イーグル、6バーディ、2ボギーの65で回り、通算19アンダーで逆転優勝を果たした。最終18番パー5では、2オンに成功し、イーグルで締めくくってのメジャー初優勝にギャラリーを興奮の渦に巻き込んでいた。

 米ツアー本格参戦3年目の今季は16試合中、トップ10入りは8回と好調で、そんな中で手に入れたメジャー制覇。これでツアー通算2勝目となったが、近年の日本勢の活躍ぶりに驚いてるのは韓国メディアだ。

「イーデイリー」は「古江彩佳がエビアンでメジャークイーンに頭角…日本勢は今年だけで2度のメジャーを制覇」との見出しを打ち、「2019年にプロとなり、LPGAでは1勝しかしていなかったが、日本女子プロゴルフツアーでは通算7勝の実力者だ。最後まで冷静にチャンスが訪れるのを待ち、試合終盤に訪れた機会を逃さず、ツアー通算2勝目をメジャーで飾った。これで6月に全米女子オープンを制覇した笹生優花に続いて、日本勢がメジャー2連勝を手にした」と伝えている。

ネリー・コルダよりもトップ10数多い古江

 笹生に次いで、古江のメジャー制覇にはさすがに韓国が反応しなわけがない。「ソウル経済」は「韓国に追いついた日本、コルダの対抗馬に浮上した古江」とのタイトルで、今季の日本勢の強さについてこう説明している。

「シーズン序盤までネリー・コルダの独走が続くと思われていた。5月中旬まで8試合で6勝のコルダの勢いは誰にも止められないほどだった。しかし、以降は3試合連続で予選落ちし、雰囲気は完全に変わった。コルダの不振の隙をついたのは日本の女子ゴルファーたちだ。笹生優花の全米女子オープン優勝に続いて、古江彩佳がエビアン選手権を制覇し、今年4つのメジャー大会で日本の選手が2勝した。特にパッティングで強さを見せる古江が、コルダの強力な対抗馬に浮上した。各主要のデータを見ると、コルダと古江が1、2位を争っている」

 各部門の比較については「平均ストロークでは69.88を記録している古江が、69.97のコルダを抜いて1位になった。1勝の古江が6勝のコルダよりも順位が上なのは、トップ10回数が多いからだ。今季はエビアン選手権の優勝を含めてトップ10が9回、一方のコルダは7回だ」と伝え、改めて古江の安定した成績に注目している。

古江の強みは「試合に出続けるスタイル」

「ドライバーの平均飛距離は122位(250.75ヤード)と“飛ばし屋”ではないが、フェアウェイキープ率は4位(83.37%)、パーオン率11位(71.68%)とショットの精度が高い。さらに1ラウンドあたりの平均パット数は12位(29.19)、パーオンホールでの平均パット数は5位(1.76)を記録している」

 また、高い技術を裏付けする数字の高さもさることながら、「何よりも古江は継続して試合に出続けるスタイルだ。すべての選手の中で一番多い17試合出場、64ラウンドを消化している」と古江のプレースタイルについても評価していた。

 確かな技術に加え、強じんなフィジカルも古江の強みなのは間違いない。実際に、バーディ数1位(237個)なのは試合に出続けられる体力があるからこそで、今季の予選落ちはダブルス戦の「ダウ選手権」の1回しかない。

 改めて日本勢の強さに注目している韓国。次の話題はパリ五輪での日韓のメダル争いが話題になることだろう。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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