Yahoo!ニュース

非日常の温泉に浸る!「一生に一度は入浴したい関東の秘湯」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

「秘湯」という言葉から、旅情を誘う魅惑の響きを感じないだろうか?

秘湯とは本来「ひっそり人知れず、秘境の地に湧出する温泉」のことを指すが、現代の情報社会では、マニアしか訪ねないような野湯を除けば、だいたいの温泉は世に知られている。また、交通網の発達によって、アクセスが難しい秘湯も山奥や離島の温泉に限られるようになった。そういう意味では、秘湯はぐっと身近になり、誰でも楽しめるようになったともえいえる。

それを踏まえて、筆者は現代における秘湯を広くとらえ、「非日常感を満喫できる温泉」と再定義している。

今回は、一生に一度は入浴してみたい秘湯を関東エリアに絞って5カ所紹介したい。

尻焼温泉・川の湯(群馬県)

温泉街を流れる長笹沢川そのものが温泉となる。川を堰き止めてつくった巨大な露天風呂が名物で、川底からピュアな湯が直接湧き出す。なお、尻焼というユニークな名は、湧き出した湯で温められた石に腰を下ろして、痔を治したことが由来とされる。天候や川の水量によって泉温が変化したり、入浴できなかったりするので、まさに自然まかせの秘湯である。当然混浴だが、水着の着用可。

式根島・地鉈温泉(東京都)

伊豆諸島を構成する式根島までは、東京の竹芝桟橋から高速ジェット船で約3時間。島内には4カ所の温泉があり、そのうち3つが海岸に面した野趣あふれる露天風呂だ。ワイルドなロケーションの「地鉈温泉」は干潮時のみ入れる野湯。岩の窪みに湧く源泉は高温なので、海水がうまく流れ込む湯船が適温となる。入浴できる時間が限られるという意味では、現代に残された「秘湯」である。

北温泉・北温泉旅館(栃木県)

那須温泉郷の奥に位置する秘湯で、一軒宿の「北温泉旅館」が立つ。映画『テルマエ・ロマエ』のロケ地となった温泉としても知られる。木造の鄙びた建物は、玄関を入った途端、昭和の時代にタイムスリップしたような気分になる。湯量も豊富で、名物の内湯「天狗の湯」のほか、混浴できる大きな温泉プールもある。山奥の一軒宿ということもあり、非日常の静かな時間を過ごすことができる。

法師温泉・長寿館(群馬県)

みなかみ町の山間部にある秘湯の一軒宿。明治時代の面影を残す鹿鳴館風の浴室「法師乃湯」が有名で、温泉ファン憧れの空間が広がる。4つに仕切られた湯船はいずれも湯船の底からぷくぷくと源泉が湧く足元湧出泉。泉質は最高。適温で新鮮な湯が絶えずかけ流しにされている。目隠しなどがないので入浴のハードルは高いが、女性専用時間がある。

奥鬼怒温泉郷(栃木県)

「関東最後の秘湯」と呼ばれる山深い温泉地。加仁湯、手白澤温泉、日光澤温泉、八丁の湯の4つの温泉宿で構成され、それぞれ異なる源泉がかけ流し。基本的に女夫渕から徒歩でアクセスすることになり、約1時間半の道のりである(加仁湯と八丁の湯は宿泊者のみ送迎あり)。アクセスはラクではないが、その分、野趣あふれる露天風呂と大自然に癒やされる。八丁の湯は滝見露天、加仁湯は乳白色の湯が自慢である。

加仁湯の露天風呂
加仁湯の露天風呂

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

高橋一喜の最近の記事