横浜家系ラーメンのレジェンド 『六角家』を食べ比べてみた
今はなき『六角家 本店』の味を継ぐ店が横浜にある
今や全国的に人気を集めている「家系(いえけい)ラーメン」。豚骨醤油のスープに鶏油を浮かべ、長さが短めの太麺を合わせ、具はチャーシュー、ホウレンソウ、海苔3枚というのが基本的な家系ラーメンのスタイル。麺の茹で加減やタレの濃さ、油の量などが自分好みに調整が出来るシステムの先駆的存在でもある。
家系ラーメンが生まれたのはちょうど今から50年前のこと。1974年に新杉田で創業した『吉村家』(神奈川県横浜市西区岡野1-6-31)。オリジナルの豚骨醤油味は、『吉村家』創業者の吉村実さんが「九州の豚骨」と「東京の醤油」を合わせるという発想から生まれたものだった。
『吉村家』から派生した店はどこも屋号に「家」をつけていたことから、インターネット上で「家系ラーメン」と呼ばれるようになった。その名前を一躍全国区に知らしめたのは、1988年に横浜六角橋で創業し、1994年に開業した『新横浜ラーメン博物館』に地元横浜代表として出店した『六角家』だ。
残念ながら『六角家 本店』は2017年に閉店、のちに廃業してしまうこととなるが、その看板と味を受け継ぐ嫡流の店が横浜には存在する。「家系御三家」とも呼ばれた伝説の味は今もしっかり守られているのか。今も食べることが出来る『六角家』を食べ比べてみよう。
濃厚でパンチのある味わい『六角家 戸塚店』(1997年創業)
一時期は全国に店舗を10店舗ほど展開した『六角家』だったが、2017年に本店を閉め2020年には破産。そして2022年に創業者の神藤隆さんはこの世を去ったがその屋号と味を長年にわたり横浜の地で守り続けて来たのが、神藤さんの弟が営む『六角家 戸塚店』(神奈川県横浜市戸塚区下倉田町682)だ。
豚骨の密度の高い濃厚なスープにパンチのある醤油ダレ、そして存在感のある鶏油の甘みと香り。全盛期の『六角家 本店』を彷彿とさせる味わいを体感出来るだろう。麺は家系御用達の酒井製麺を使用するが、ノーマルだとかなり硬めの茹で上げになるので、柔めでオーダーするのが個人的にはオススメだ。
21年振りに進化した味わい『六角家 1994+』(2024年創業)
2024年に開業30周年を迎えた『新横浜ラーメン博物館』へ、劇的な復活出店を果たしたのが『六角家 1994+』(神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21)。『六角家』創業者の神藤さんが生前に、復活する際の後継者として指名したのは、『六角家』で修業し、現在は静岡浜松で『蔵前家』を営むベテラン職人の袴田裕司さんだ。
袴田さんが目指すのは、1994年に出店した頃の『六角家』の味。スープの旨味がしっかりとありながら、豚骨と醤油ダレとのバランスが取れている家系ラーメン。そこに袴田さんのオリジナリティを加えてアップデートした。戸塚店よりもマイルドでバランス型の味わいなので、パンチが欲しい人は油多め味濃いめがオススメだ。
残念ながら一世を風靡した『六角家 本店』はもう存在しない。しかしその屋号とラーメンをしっかりと受け継いで守っている店がある。ぜひ横浜にある2軒の『六角家』を食べ比べて、ラーメンの食べ歩きを楽しんで欲しい。
※写真は筆者によるものです。
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