岸田首相リスキリングに1兆円! 何をどうリスキリング(学び直し)すればいいのか?解説してみた
■リスキリング支援「5年1兆円」
3日召集された臨時国会で岸田首相は所信表明演説し、個人のリスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じると表明した。思い切った決断だ。
しかもリスキリング(学び直し)が必要な理由は、「成長産業への労働移動を促すため」とも明言している。つまり、これから衰退していく業界の会社は社員をリスキリングし、成長する業界へと転職(兼業、起業含む)しやすいようにしてください――ということだ。
リスキリング対象はベテラン人材だろう。
しかし、そうは言っても、何をリスキリングしたらいいのか? 世の中の40代、50代の会社員は戸惑うはずだ。
今回は、何をリスキリングすべきか? どうリスキリングしたらいいのかについて解説する。
■何をリスキリングすべきか?
最初に答えを書こう。
リスキリング(学び直し)すべきは、基礎的なビジネススキルである。
・コミュニケーション力
・企画力
・提案力
・プレゼンテーション力
・マネジメント力
・マーケティング力
・戦略立案力
・仮説思考力
・論理思考力
・クリティカルシンキング……等
そもそも「成長分野への労働移動」が目的だ。今目の前の仕事で役立つ実務スキルをリスキリングしても意味がない。
とはいえ将来どんな仕事をするか予測つかない人が大半だろう。プログラミングとかデータサイエンティスト的な具体的な技能を身につけても本当に役立つかどうかわからない。
若い人たちに混じってトレーニングを受けるのもカンタンではない。
その点、基礎的なビジネススキルであれば、「ゼロスタート」ではない。まさに「学び直し」になる。
■どうリスキリングすべきか?
しかし、「基礎的なビジネススキル」と聞くと、
「私はすでにコミュニケーション力がある」
「もう10年近くマネジメントに関わっているのでリスキリングは不要」
と言う人が出てくる。しかし本当にそうだろうか?
本当に今現在のスキルで、他の業界にいって活躍できるのだろうか? どのぐらいのレベルにまでリスキリングすべきかも、しっかりと理解しておこう。
私が考えるスキルレベルは――
・赤の他人がお金を払ってでも教えてもらいたいと思えるほどのスキル
である。
1000円でも2000円でもいい。2~3時間、コミュニケーション力、企画力、マーケティング力について語ることができるか。スキルが足りない人に教えることができるなら、それなりのスキルを身につけていると言えるだろう。
本を2~3冊読んだぐらい、1日や2日研修を受けたぐらいではダメ。その程度でスキルが身につくはずがない。
ポイントは以下の2つだ。
・アウトプット
・フィードバック
先述したとおり、ベストのアウトプットは有料の勉強会だ。かなり精度の高いアウトプットをしないと他人がお金を払ってまで教えてもらおうとは思わない。
有料の勉強会を開くことが難しいのなら、メルマガやブログ、動画を作って発信してみよう。研修報告書を作るぐらいでは学び直しにはならない。
次にフィードバックだ。
レベルの高いフィードバックをもらおう。
自分の部下や後輩を集めて学んだことを説明しても、
「課長、わかりやすかったです」
「部長、お話がお上手ですね」
と褒められるだけ。
まともなフィードバックが欲しければ、赤の他人の前で学んだことを披露し、相手が理解できたかどうかを正しくフィードバックしてもらうことだ。
政府がリスキリング支援に本腰を入れ始めた。リスキリングをいち早く進める企業が生き残ることは間違いないだろう。
人的資本への投資が、生き残り戦略の大前提なのだから。