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ベストポイントガードが見られないNBAプレイオフ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月26日のヒューストン・ロケッツ戦71得点を挙げたデイミアン・リラードは、現在のNBAで最高のPGと言っていい。

71得点のゲーム後、祝福されるリラード
71得点のゲーム後、祝福されるリラード写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 NBAの歴史上、1試合で70得点以上をした選手は8人しかいない。コービー・ブライアント(81)、デビッド・トンプソン(73)、ドノバン・ミッチェル、エルジン・ベイラー、デビッド・ロビンソン、リラード(71)、そしてデビン・ブッカー(70)の7名と、複数回成し遂げたウィルト・チェンバレン。チェンバレンは、伝説となった1962年の100点ゲームを頂点に、6回もの70点超えを達成した。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今シーズンのリラードは、オールスター前夜の3Pコンテストでも優勝し、心身ともに好調を維持している。だが、いかんせん所属チームのポートランド・トレイルブレイザーズに元気がない。ブレイザーズは8シーズン連続で出ていたプレイオフに、昨年出場出来なかった。リラードが孤軍奮闘しても、周囲がそのレベルに達していないのだ。

 筆者は2020-2021、2021-2022とブレイザーズの番記者だったが、リラードが仲間を鼓舞しながら突き進む姿に心を打たれながらも、時に痛々しさを覚えた。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210318-00227916

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210305-00225663

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200322-00168658

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 71ゴールした直後に、

 「アグレッシブに、ただ、勝利のために出来ることをしようと。常にベストを尽くさなければならないと感じている。とにかく、攻撃モードでいたかったんだ」と語ったリラードは、どんな時も「これでは満足出来ない」「まだまだだ」と自分と会話している。

 また、何度移籍のオファーを受けても、ポートランドでのプレーを望む。しかし、今季もプレイオフ出場が断たれた現実を、受け入れなければならない。ニューヨーク・ニックスがラブコールを送っているという噂も飛び交っているが、このまま埋もれてしまうには惜しくてならない男だ。NBAファイナルで躍動する様が見たい。

 彼は、どんな決断を下すのかーーー。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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