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NBAオールスター選手、デイミアン・リラードのメッセージ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
ようやく鼠径部のケガが癒え、コートに復帰したところだったが…(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 NBAが活動を休止するおよそ1カ月前の2月9日(現地時間)、デイミアン・リラードを擁するポートランド・トレイルブレイザーズは、ホームにマイアミ・ヒートを迎えた。

 1万9726人の観客が詰めかけたモダ・センターのファンが最も熱い視線を送ったのは、背番号0のデイミアン・リラードだった。トレイルブレイザーズ内で最高年棒である2980万ドル強が保証され、チーム内で唯一オールスターゲームに選出されたポイントガードである。

撮影:著者
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 この日のリラードは33得点8アシストをマーク。トレイルブレイザーズは115-109でヒートを下した。リラードがフリースローを打つ際、モダ・センター全体から「M!V!P!」「M!V!P!!」なる大合唱が送られ、その期待値の高さが窺えた。

撮影:著者
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 だが、リラードはオールスター直前に鼠径部を痛め、2月12日以降は治療とリハビリに専念する。彼が復帰を果たしたのは、八村塁が所属するワシントン・ウィザーズがポートランドにやって来た3月4日のことであった。32分間プレーし、22得点5アシスト。

 八村とマッチアップするシーンもあった。リラードが切れのいいカットインを見せると、八村はその動きに付いていけなかった。

撮影:著者
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 2日後のゲームでは38分間コートに立ち、24得点6アシスト。3月7日はやや疲れを見せ、33分の出場で12得点6アシスト。3月10日のフィニックス・サンズ戦では40分間プレーし、25得点7アシスト、リバウンドも5を記録した。

 現在、西地区9位で、8位であるメンフィス・グリズリーズとの3.5ゲーム差をひっくり返さなければプレイオフに出られないトレイルブレイザーズにとって、リラードの活躍は浮上の鍵となっている。

撮影:著者
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 3月10日は121-105で勝利し、リラードも復調の兆しを見せた。しかしご存知のように、NBAからもCOVID-19により、活動休止となっている。

 そんななか、何名かの選手が映像によるメッセージをファンに送ったが、リラードと息子の動画が「可愛い!」と話題になっている。こちらもNBA-JAPANの許可を得、同映像をここでお届けしたい【NBAE】。

 「こんにちは。ポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードです。皆さん、よく手を洗って下さいね。人の多い場所はなるべく避けましょう。もし、自分の体がおかしいと感じたら、検疫に行って下さい。このウィルスに対しては、皆で闘っていきましょう。なるべく近いうちに、再会できるといいですね」

 そして、膝に乗せていた息子に「See You!って言ってごらん」と。すると息子がパパの言いつけを守って「See You」と話すのだ。ほのぼのとした映像で、NBAスター選手の良き父親ぶりが伝わって来る。

 無論コートで観客を魅了することがプロの仕事だ。が、同時に我が子を愛する父であるリラードの姿がファンの心を掴んだ。こんな時期だからこそ、人としての生き方が問われるように感じる。再開後のリラードに期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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