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森喜朗氏の発言と浅田真央ちゃんに見る、表層を切り取る危険性とチャレンジの尊さ

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

昨日20日に福岡市で行われた講演会で、森喜朗氏(元総理大臣・東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長)の発言が大きな波紋を読んでいるのは周知のとおり。

「あの娘、大事なときには必ず転ぶんですよね」(森喜朗元首相)

森元総理は20日、福岡市での講演で、ソチオリンピックのフィギュアスケートに出場した浅田真央選手のショートプログラムの演技についてこのように述べました。その上で、日本時間の今月9日未明に行われた団体戦に出場して、ジャンプで転倒したことがショートプログラムに影響したと分析。

「負けるとわかっている団体戦に何も浅田選手を出して恥をかかせることはなかったと思う」(森喜朗元首相)

トリプルアクセルが成功すれば団体戦で3位になれると、淡い期待を持って浅田選手を出場させた、と協会を批評。その団体戦での浅田選手の演技についても、森元総理は「見事にひっくり返った」と重ねて発言しました。

出典:TBSニュース

ま、波紋と言うか世の中みんな憤慨!的な感じになっているわけです。実際ぼくのフェイスブックもツイッターのタイムラインも昨日の昼頃から、森氏への憤りの書き込みが満載だったわけですが、この森氏の講演での発言全文を読むとちょっと印象が変わってくるのも事実でして。

今朝も真央ちゃんが最後ひっくり返った時は、4時だったと覚えておりますが。皆さんそれご覧になると、それまでずーっと真央ちゃんがまだ30番目で一番あとだったもんだから。ずーっと皆見てるわけでしょ、あれ。ショートプログラムだから、1回何分かな。3分半くらいかな。そんなもんだったと思いますけど、それ全部やって一番最後に真央ちゃん。なんとか頑張ってくれと思って皆見ておられたんだろうと思いますが、見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなと。

僕もソチ行って、開会式の翌日に団体戦がありましてね、あれはね、出なきゃよかったんですよ日本は。あれは色んな種目があって、それを団体戦で。特にペアでやるアイスダンスっていうんですかね。あれ日本にできる人はいないんですね。あのご兄弟は、アメリカに住んでおられるんだと思います確か。ハーフ。お母さんが日本人で、お父さんがアメリカ人なのかな。そのご兄弟がやっておられるから、まだオリンピックに出るだけの力量ではなかったんだということですが、日本にはいないもんですから、あの方を日本に帰化させて日本の選手団で出して、点数が全然とれなかった。

あともう皆ダメで、せめて浅田さんが出れば3回転半をすると、3回転半をする女性がいないというので、彼女が出て3回転半をすると、ひょっとすると3位になれるかもしれないという淡い気持ちでね。浅田さんを出したんですが。また見事にひっくり返っちゃいまして、結局、団体戦も惨敗を喫したという。

その傷が浅田さんに残ってたとしたら、ものすごくかわいそうな話なんですね。団体戦負けるとわかってる、団体戦に何も浅田さんを出して、恥かかせることなかったと思うんですよね。その、転んだということが心にやっぱ残ってますから、今度自分の本番のきのうの夜はですね、昨日というか今朝の明け方は、なんとしても転んじゃいかんという気持ちが強く出てたんだと思いますね。いい回転をされてましたけど、ちょっと勢いが強すぎたでしょうかね。ちょっと転んで手をついてしました。だからそういうふうにちょっと運が悪かったなと思って見ております。

出典:TBSラジオ 荻上チキsession22

森氏の発言が、いずれにせよ配慮を欠いている問題ある発言だという認識は全文読んでも変わりません。むしろ、アイスダンスのリード姉弟へのコメントなどはいよいよ問題あるとも思いますが。。。

発言の一部を切り取る恣意性の危険

一方で、浅田真央ちゃんへの発言は、どうも文脈を読んでいくと、どちらかといえば彼女を非難しているというよりも、フォローしようとしてこういった発言をしてたんじゃないか?と読めるのも、一面ではないかと思うのです。

重ねて森氏の発言に問題がないとはさらさら思いませんし、やはり避難されるべきです。が、しかし一方でメディアが失言を報じるときに前後の文脈まで読んこんでみると、報じられたことと異なる印象を持つことも多いのも、また事実では?と思うのです。

発言の一部を切り取る恣意性の危険ってあるなぁ、とまぁ思うわけです。

出場する113名の日本代表は、それぞれ日本一、二。すごいじゃん!

なーんとなく、TVを見ていたりしてもやーっとしてた感覚が、ちょっと真央ちゃんの件などで自分の中ではっきりしてきた気がします。ってのは、やはり我々は、メダル獲得や勝ち負けに【過剰な】こだわりと期待をしすぎていないだろうか、ということ。いや、期待するのは普通だと思うんで、いいんですけれどね。ただ、メダルが取れなかったから過度な失望や、転じて罵倒になっちゃいけないとおもうんですよね。昨日の朝喫茶店でPCカチカチ一人で仕事していたら、横の席のおばちゃんたちが真央ちゃんの話をしていたんですが「やっぱ真央ちゃんは、16位の素質だったんでしょうねぇー」と発言していまして。そこに、ちょっと違和感があるわけです。

高梨選手は「たくさんの方々に応援していただけたのに、ベストを尽くせず、結果を残すことができなかったので、今は申し訳ない気持ちでいっぱい」と悔しさをにじませた。

出典:読売新聞オンライン

こういう発言を17歳にさせちゃうって、なんか頑張る人をダメにしちゃうことにならないだろうか。

改めて思うのです、結果はもちろん大事だし期待もしたい。でも、

なによりチャンレンジしている人って、カッコいいし尊い!

真央ちゃんの演技もそうだし、懸命なホンキな姿にはただ感動するわけで。

そして、自身を省みるわけです。

自分は日々チャレンジできているだろうか。

ほんの小さなことでも、昨日より今日、今日より明日と。

さあ、今日も1日頑張っていきましょう!

秋元祥治・公式ブログ http://akimotoshoji.blog.jp より

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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