「甘やかす」と「甘えさせる」の違いを知っていますか?~元保育士パパが教える【子育てのヒント】
子育て真っ最中のお父さん、お母さんは子どもを「甘やかすこと」と「甘えさせること」の違いを知っていますか?
子どもは親に甘えるもので、大人になっても親の存在は心強いでしょう。親も子どもは何歳になってもかわいく、心配してしまうものです。しかし、いつまでも親離れ、子離れできないのは困るので、子どもの自立に向けてサポートしていくのも親の務めでしょう。
そのためには、子どもが小さいうちにたくさん甘えさせることが大切です。甘えさせることと甘やかすことは似ているようですが全く違います。しかし、その違いがよくわからないという人は多くいます。
今回は「甘やかす」と「甘えさせる」の違いと、甘えさせることの大切さについて解説します。
「甘やかす」と「甘えさせる」の違いとは
甘やかすことと甘えさせることは全く違うことですが、場合によってはよく似ています。甘やかすことの反対は厳しくすることなので、「甘やかす」と「甘えさせる」は対極にあるものではありません。
「甘やかす」…子どもの欲求に全てこたえてしまうこと
欲しがるものを全て買ってあげたり、「お菓子が食べたい」と言えば際限なく与えたりすることが甘やかすことです。子どもができることをなんでも親がやってあげることも、甘やかすことになります。
「甘えさせる」…子どもの心情に寄り添い、気持ちを満たしてあげること
たくさん歩いたときに「抱っこ」とせがまれたら「よく頑張ったね」と抱っこしたり、普段は自分でやっていることも疲れていてできないときは手伝ったりすることが甘えさせることです。
なぜ子どもを甘やかしてはいけないのか?
子どもを甘やかしてしまう親は、子どもを大切でかわいいと思うからこそ甘やかしてしまうのでしょう。しかし、子どもができることをなんでもやってしまったら自分で頑張ろうとする意欲や力までも奪ってしまうことになります。したがって、子どもがかわいいからなんでもやってあげたいと思っても子どもが自立するため意図的に、子ども自身に経験させることが大切です。
欲しいものや食べたいものがいつでも手に入れば、それが当たり前になってしまい、感謝の気持ちを忘れたりなんでも手に入れないと気が済まないわがままな性格になったりしてしまうでしょう。たとえ裕福でなんでも買い与えることができるとしても、子どものためを思って我慢させることも必要です。
子どもを甘やかさないための2つの方法
甘やかしてはいけないからといって、厳しくすればよいわけではありません。厳しくするのではなく、子どもの自立のために今何が必要かということを考えることが大切です。子どもを甘やかさないための方法を、2つ紹介します。
子どもを甘やかさないための方法① 考える
子どもの欲求に対して、親はどうするべきか考えましょう。
「ご飯の時間だから片付けて」と言っても、子どもは全然片付けない。待っていても時間が過ぎるばかりだから、親が片付けてしまえば簡単。だけど、親が片付けたら“僕が片付けなくても、どうせお母さんが片付けてくれる”と思って、子どもはますます片付けなくなるだろう。だから、子どもが片付けるまで待つことにしよう。
子どもが「ゲームしたい」と言ってきた。これから夕食の準備をするから、子どもがゲームをしていれば楽。だけど、今日は午前中にもたくさんやってしまったから我慢させたほうがいい。
など、子どもの年齢やそのときの状況なども含めて、子どもにとって1番よいと思う対応を考えましょう。
子どもを甘やかさないための方法② 経験を優先する
子どもは親のすることを真似したがることがよくあり、自分でできるようになるととても嬉しいものです。子どもがやりたいと言ったことや「できそうだな」と思ったことは、できるだけ経験させましょう。「自分のことは自分でできる」子どもに育てるために、どんどん経験をさせることが大切です。
たとえば、ある程度大きくなれば、保育園への行き帰りに子どもは自分の荷物を持つことができるでしょう。しかし、子どもにせがまれなくても子どもの荷物を全部持ってしまう親がいます。それは自分の荷物を自分で持つという当たり前の経験を親が奪ってしまうことになり、甘やかす行為です。しかし、重いものも全部無理やり持たせるのも違います。子どもに「何をさせるべきか」「親の援助が必要か」ということを考え、できることはたくさん経験させましょう。
子どもを甘えさせることはなぜ大切なのか?
子どもは親にたくさん愛情を注いでもらうことで、自分は愛されるに値する存在であることを知り、自己肯定感が高まります。自己肯定感が高まることで意欲が生まれ、新しいことや大変なことにもチャレンジしようとするでしょう。そして、人に対しても愛情や優しさを注げる人になっていきます。子どもに愛情を伝えるために、甘やかすのではなく甘えさせることが大切です。
子どもの自立に向けて厳しくするのではなく経験させることを意識し、上手にできたらたくさん褒めましょう。失敗したとしても決して責めたり叱ったりガッカリした顔を見せることなく、頑張ったことやチャレンジしたことを称えましょう。
子どもを甘やかすために注意すべきこと
甘やかすことと甘えさせることはよく似ているので、迷うこともあるでしょう。しかし、明確な正解はない場合もあります。子どもの年齢や性格、家庭環境などによっても違うので、ほかの家と違うのは当然です。上の子と下の子で対応が変わることもあるでしょう。そして、たまには甘やかしてしまうことがあってもよいと思います。その都度考えることは大切ですが、あまり悩み過ぎずそのときに思ったやり方で対応すればよいのです。
そして、家事や仕事など親も忙しいので、いつでも子どもに甘えさせてあげることはできません。子どもが歩き疲れて「抱っこ」とせがんできても、両手に荷物を抱えていて抱っこできない場合など、すぐに欲求を満たしてあげられないときに「今抱っこできないでしょ!」などと突き放すことはやめましょう。「今、ママも荷物持っていて抱っこできないから、もう少し頑張って。おうちに帰ったら抱っこしようね」などと声をかけ、家に帰ったら約束を守るようにしてください。親自身も疲れていて、つい感情的に言ってしまったら、あとで「あのとき、ママも疲れてて嫌なこと言ってごめんね」など、子どもに素直に謝ることも大切です。
まとめ
甘やかすことと甘えさせることの違いは、ときに難しいこともあります。そして、たまには甘やかすことがあってもよいでしょう。大切なのは「甘やかす」ことと「甘えさせる」の違いを意識し、その都度最善な対応を考えることです。かわいくて大切な子どもだからこそ、子どもの将来のために今親としてできる子とは何かということを考え、実践していきましょう。