ロックダウン中、愛犬の散歩はどうしてる?上海人に聞いてみたら、実は……
ロックダウン中、犬の散歩は?
犬の散歩のことくらいで、と思う人もいるかもしれないが、犬を飼っている人にとって、犬は家族の大事な一員であり、散歩は重要な日課だ。
日本でも大雨が続くと散歩ができず心配になる人が多いと思うが、厳しいゼロコロナ政策をとる中国では、犬の散歩ひとつとっても、場合によっては飼い主が刑事罰を科せられることがあるなど、切実な悩みの一つとなっている。
3月末からロックダウンが続く上海で、住民たちは愛犬(中国で犬は、毛が生えている子どもという意味で別名「毛孩子」(マオハイズ)と呼ばれる)とのつき合い方をどうしたらいいのか、SNSグループ内で大きな話題になっているという。
きっかけは4月上旬、ある感染者が飼っていた犬が、感染者が隔離施設に移送されたあと防疫担当者に殺処分されるという痛ましい事件が起きたからだ。
コロナ感染者の飼い犬を叩き殺す…「最も洗練されている都市・上海」の防疫対策のあまりの粗暴さ
SNSで「コロナ禍のペット飼育指南」などのグループが多数立ち上がり、そこには「いざというときの預け先リスト」「ペットの消毒の仕方」「室内での排泄を覚えさせる方法」などの行動マニュアルが書かれている。
中でも心配なのは毎日の散歩をどうするかだ。上海在住の知人たちに率直な意見を聞いてみたところ、驚きの答えが返ってきた。
どうやって散歩しているのか
「実は……こっそり散歩させています」
ある人はこういった。
続けて「隠れてやっています。朝5時に起きて、周囲の様子をうかがってから、こっそりマンションを出て、小区(数棟あるマンションの敷地内)の周りだけ短時間さっと行って帰ってきます。本当はそれもダメですけど、仕方がない。堂々とはできないけど、止むを得ないんです」という。
別のある人は「マンションの地下に駐車場があるので、そこに連れていって、駐車場の中を散歩させています。家の中では用を足さないので……」と話す。
他の人も「マンションの入り口まで連れていって、そこで放すと犬が勝手に散歩して、入り口で待っている自分のところまで戻ってくる」、「夜遅く、こっそり敷地内だけ散歩させている」などの意見があったが、中には「大型犬だけど、家の中を数十分間ぐるぐる歩かせている」という人もいた。
中国のSNSを見ると「コロナ禍の犬の散歩法」として驚きの方法を公開している動画もある。
たとえば、犬に長いリードをつなぎ、マンションの上のフロアの窓から犬だけ下ろして散歩させる方法だ(=写真)。首輪が首に食い込んで犬も苦しそうだし、危険な行為だが、同じ方法を取っている人もかなりいる。
苦肉の策だが、堂々と散歩させることはできないから、やむを得ないということだろうか。
愛犬家の悩みは尽きない
ロックダウン中、PCR検査のときを除いて、玄関のドアを開けることも原則的には禁止だからだ。だから「こっそり散歩させている」と聞いたときには「玄関から出てもいいのか」と正直驚いた。
だが、それもマンションや小区(マンション群)によって「厳しさの度合い」はさまざまで一概には言えない。かなり管理が厳格なところもあれば、見て見ぬふりをしてくれるところもあり、バラバラのようだ。
数日前、欧米のある国の外交官夫妻がマンションの外に犬を連れだして散歩させていたところを警備の人に注意されていた動画が中国のSNSで広く出回った。夫人が「私は外交官夫人よ」と言って抵抗している場面も撮られたため、大批判を浴びた。
2021年には吉林省でロックダウン中、犬の散歩をしていた男性が防疫担当者ともめて5日間の拘留処分を科せられたこともあった。そうしたことも実際に起きているだけに、愛犬家にとっての悩みは深い。ロックダウンが長引けば長引くほど、社会生活への影響も甚大になっていくだろう。