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オマーンに“衝撃”敗戦の日本もヤバいが韓国もイラクにドローで危機感?W杯アジア最終予選は波乱か

金明昱スポーツライター
ソン・フンミンはイラク守備陣の徹底マークに苦しんだ(写真:ロイター/アフロ)

 9月2日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオマーン戦に挑んだ日本代表。

 試合は一進一退の攻防でほぼ互角の展開で前半は0-0。後半に入ってからも日本は得点チャンスが少なく、重い空気が漂うなかで迎えた89分、オマーンの右サイドからのクロスに合わせられて失点。アディショナルタイムに反撃に出たが追いつけず、0-1で敗北を喫した。

 試合後に内田篤人氏のテレビインタビューに対し、吉田麻也が「負けるべくして負けたと思います。テンポもよくなかったですし、コンビネーションも良くなかったです」と完敗を認めていたが、確かにチームとしてはオマーンのほうが完成された印象が強かった。

 この試合結果に韓国メディアも驚きを隠せないようで、刺激的な見出しがネット上に飛び交っていた。

「欧州組、総出動でベストメンバーの日本、ホームでオマーンに0-1の衝撃敗戦」(ニュース1)

「日本“最弱”オマーンに0-1衝撃敗戦、ホームでベストメンバーそろえても“惨事”」(スターニュース)

「屈辱の日本、W杯最終予選の初戦で79位オマーンに衝撃敗」(スポーツ朝鮮)

 また、「MKスポーツ」は「試合内容は予想通りに日本の一方的な展開だった。ボールポゼッションも日本が65%で、オマーンが35%で圧倒した。しかし実質的に試合を有利に進めたのはオマーンだった。オマーンは守備を固め、カウンターから日本のゴールを狙った」と伝えている。

 それほどに格下と思われていたオマーンに日本が敗れたことは、韓国メディアも衝撃だった。

韓国はイラクにドローでA組3位

 だが、韓国も日本のことを心配している余裕はない。韓国はイラクとの初戦を0-0と引き分けているが、こちらもほぼベストメンバーをそろえながら勝利できなかった。

 FWにはソン・フンミン(トッテナム)とファン・ウィジョ(ボルドー)。MFイ・ジェソン(マインツ)、MFファン・インボム(ルビン・カザン)、DFキム・ミンジェ(フェネルバフチェ)などの欧州組のほか、Jリーグ組からはDFキム・ヨングォン(ガンバ大阪)とGKキム・スンギュ(柏レイソル)が先発出場した。

 韓国には何度も決定機が訪れていた。

 前半はCKのチャンスから、ペナルティーエリア内にいたイ・ジェソンの下にボールが来るも、ゴール目の前で放ったシュートは無情にもバーの上へ。後半からピッチに投入されたFWファン・ヒチャン(ウルヴァーハンプトン)が左クロスからヘディングでゴールを狙ったが、キーパーのファインセーブに阻まれ得点に至らなかった。

 ボールポゼッションは68%が韓国で、シュートも15本放ったが1点が遠く、0-0の引き分けでイラクと勝ち点1を分け合った。

 試合後のインタビューでソン・フンミンが「うまく試合運びができずゴールを決められなかった。しかし、こんな内容ではサッカーが発展しないと思う」と話し、わざと時間を引き延ばすイラクのサッカーにチクリとくぎを刺すコメントを残している。

 ただ、それらを差し引いても、総合力では韓国のほうが上なのは明確。イラクと圧倒的な差があったとは言いがたい試合だった。

ソン・フンミンのコンディションは悪い?

 また、韓国メディアが心配しているのは、欧州組のコンディションだ。

 「イーデイリー」は「ソン・フンミンは終始、相手に脅威的な姿を見せられなかった。イラクはソン・フンミンを防ぐために、現代サッカーではあまり使わないマンマークで対抗してきた。イラクのサイドバックのアリ・アドナンはソンがどこにいても、影のようについてきた。100%のコンディションなら個人技で十分に抜くこともできたが、この日はそうではなかった」と報じている。

 同じくワントップのファン・ウィジョもストライカーとしての鋭い動きのキレは、時間が経つとともに消えていた。コンディションの状態にやや問題を抱えている印象だった。

 これで韓国はグループAで3位。1位はイラン(シリアに1-0で勝利)、2位がイラク、4位レバノン、5位UAE、6位シリアとなっている。

 もちろん残りの試合数を考えれば、W杯出場への切符獲得へまだ悲観的ではないが、次戦7日のレバノンとの勝利は必須だ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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