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NECから「光らない」ゲーミングPCが登場。ターゲットは誰?

山口健太ITジャーナリスト
「光らない」ゲーミングPCが登場(NECPC提供資料より、モニターは別売)

7月5日、NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が新製品として「ゲーミングPC」を発表しました。特徴は、カラフルに光ることがなく、リビングに置けるデザインにあるといいます。いったい誰がターゲットなのでしょうか。

リビングに置けるデザインを採用

eスポーツやゲーム実況の人気を背景に、ゲーミング市場が盛り上がっています。普通のノートPCで遊ぶにはパワー不足であることから、ゲーミングPCに関心を持っている人は意外と多いのではないでしょうか。

これまでゲーミングPCといえば、近未来的な形状にLEDが埋め込まれ、カラフルに光るのが定番でした。他のジャンルでも、必要以上に光るアイテムは「ゲーミング○○」と揶揄される場合があるほどです。

これに対して新製品の「LAVIE GX」は、普通のデスクトップPCに近い見た目を採用。LEDは白色となっており、「7色にビカビカ光ることはない」(商品企画本部 商品企画グループ グループマネージャーの森部浩至氏)と語っています。

本体には「和モダン」テイストを採り入れ、リビングに置いても違和感のないデザインとしています。これは実際に購入して使っていく上で、家族の理解を得やすいことも狙ったといいます。

パソコン本体は「和モダン」テイスト。LEDは白色(NECPC提供資料)
パソコン本体は「和モダン」テイスト。LEDは白色(NECPC提供資料)

ゲーミング市場において、NECPCは後発です。コアなゲーマー向けの製品はすでに多くの選択肢があることから、ターゲットはこれから始めるエントリー層としています。

具体的には、子育てが一段落して余裕ができたレトロゲーム世代や、ゲーム実況の動画などでゲームに興味を持ったZ世代を挙げています。

これから始める人に向けて、NECPCが掲げるコンセプトは「家庭用ゲーム機と同じ感覚で、買ってきてすぐに遊べる」というものです。

本体にはゲームパッドとして「Xbox ワイヤレス コントローラー」を同梱。有線のキーボードとマウスも使えますが、基本はパッド操作を想定しているとのこと。ボイスチャットを楽しめるよう、ゲーミングヘッドセットも同梱しています。

基本スペックは、CPUにはインテル製の第12世代Coreプロセッサーを搭載。想定売価はGPUにNVIDIA製「GeForce RTX 3060」搭載の上位モデルが税込30万2280円、コスパ重視の「AMD Radeon RX 6400」搭載モデルが21万9780円となっています。

電話サポートはゲームで遊ぶ夜間にも対応

エントリー向けのゲーミングPCにおいて、意外と重要なのがサポートです。スマホの普及に伴い、「PCのことはよく分からないが、PCゲームを遊びたい」人が増えているからです。

そこでLAVIE GXには1年間の「ゲーミングサポート」が付属。ゲームをするのは、仕事や学校を終えた夜間が多いことから、24時間365日の対応を特徴としています。

ゲーミング専用窓口による電話サポートを1年間利用できる(NECPC提供資料)
ゲーミング専用窓口による電話サポートを1年間利用できる(NECPC提供資料)

ゲーミングサポートといっても、個々のゲームタイトルの攻略方法までは教えられないそうですが、快適に遊ぶためのゲームや周辺機器の設定方法、動画投稿や配信についても、幅広くサポートする姿勢です。

別途モニターを用意すればすぐに遊べる「オールインワン」が魅力ではあるものの、競争が激しいBTOブランドに比べると価格設定は高めに感じます。たとえばGeForce RTX 3060搭載モデルは20万円を切る機種がいくつも存在します。

直販モデルの価格の例(NECPCの直販サイトより)
直販モデルの価格の例(NECPCの直販サイトより)

この点についてNECPCは、「価格設定には最近の市場の状況も加味している。店頭ではオープンプライスなので、どれくらいお求めやすいかは店頭価格も確認してほしい」(森部氏)と説明しています。

NECPCでは「高いものを買って失敗したくない」人に向けた安心感を売りにしています。これから始めるにあたって、何を買えばいいのか分からない場合には選択肢の1つになりそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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