ウクライナ軍が修理復帰したロシアの鉄道フェリーを再攻撃、ミサイルを被弾して激しく炎上し沈没
8月22日、ケルチ海峡のロシア本土側にあるカフカス港でウクライナ軍のミサイル攻撃がありました。ウクライナ側からの発表はまだありませんが、ロシア側からクラスノダール地方のコンドラチェフ知事の報告で鉄道フェリーが被弾し沈没したと発表があります。
船名はまだ公式には発表されていませんが、ロシアの報道では鉄道フェリー「コンロ―・トレイデル」と伝えられています。映像の炎上船の特徴からも一致しています。同船は約3カ月前の5月30日にウクライナ軍のATACMS弾道ミサイルの攻撃を被弾していましたが、修理復帰して輸送活動を再開していたようで、燃料タンク貨車30台を積み込んでいた停泊中を再び狙われました。
カフカス港で炎上する鉄道フェリー「コンロー・トレイデル」
- クリミア港:鉄道フェリー乗り場
- ケルチ港:鉄道フェリー乗り場
- ケルチ港:自動車フェリー乗り場
- カフカス港:1~3のフェリー全て、ロシア本土側
5月30日:鉄道フェリー撃破(関連記事)
- アヴァンガルト(Авангард)、クリミア港① ※ATACMS
- コンロー・トレイデル(Конро Трейдер)、ケルチ港② ※ATACMS
7月23日:鉄道フェリー撃破(関連記事)
- スラヴャニン(Славянин)、カフカス港④ ※ネプチューン(推定)
8月22日:鉄道フェリー撃破
- コンロー・トレイデル(Конро Трейдер)、カフカス港④ ※修理復帰後に再攻撃
・Avangard (IMO: 9522403, MMSI: 273349080)
・Conro Trader (IMO: 7711763, MMSI: 273326760)
・Slavyanin (IMO: 8300169, MMSI: 273293910)
※ケルチ海峡の鉄道フェリーは3隻が現役。3隻全て撃破され沈没1隻。
コンロ―・トレイデルは約3カ月ぶりに2度目の攻撃を受けましたが、今回は積み込んだ燃料タンク貨車ごと激しく炎上しているのは致命的で、修理復帰はかなり困難となるでしょう。浅い港内なので沈没(大破着底)しても浮揚は可能ですが、戦争中に大規模修理は非現実的です。クリミア半島の造船所の乾ドックは全てウクライナ軍の攻撃圏内で危険ですし、たとえ直してもまた再攻撃されてしまいます。
攻撃方法については今のところウクライナ軍からの公式発表が無く、ロシア側では「ストームシャドウ巡航ミサイルで攻撃された(Mashの報道)」「ネプチューン巡航ミサイルで攻撃された(Bazaの報道)」など幾つかのメディアで複数の憶測が伝えられており、まだはっきりと判明していません。ウクライナ側のメディアからは「ウクライナ海軍が攻撃を実行した(ウクラインスカ・プラウダの報道)」とあり、これが本当ならば海軍が管轄するネプチューン対艦ミサイル(対地攻撃改造型のドウヒー・ネプチューン巡航ミサイル)で攻撃した可能性が高くなります。
※追記1:ウクライナ海軍が鉄道フェリーへの攻撃を実行したと認めるも、使用ミサイルの種類に言及は無し。出典:ウクライナ軍広報サイトАрміяInform
※追記2:衛星画像によってコンロ―・トレイデルは焼け焦げたものの沈んでおらず浮いていることを確認。出典:ロシア鉄道フェリーは沈没せず、しかし積み荷の燃料タンク貨車の炎上で黒焦げ状態(2024年8月23日)