2025年度にJAXAが打ち上げ予定「DESTINY+」謎の物質を放出する小惑星「フェートン」に迫る
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本記事では、2025年度に打ち上げが予定されている「DESTINY+」の小惑星フェートンへの探査についてご紹介していきます。
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■深宇宙探査技術実証機「DESTINY+」とは?
2025年度には、深宇宙探査技術実証機「DESTINY+」の打ち上げが控えています。DESTINY+の目的地は小惑星フェートンです。
フェートンは、彗星みたいな小惑星と揶揄されるほど謎の多い天体です。夜空に美しい尾を描く彗星は、その主成分は氷と水でできています。その他にガスやちりなども含まれており、汚れた雪玉と表現されることもあります。そして、太陽に接近した際にその氷が溶けることで、氷が蒸発し尾のように伸びているんですね。
■はやぶさ2で探査した小惑星とどう違うの?
一方、小惑星は主に岩石でできており、何かを放出するということはほとんどありません。例えば、初代はやぶさが探査した小惑星「イトカワ」や、はやぶさ2の「リュウグウ」はどれもゴツゴツした岩石質の天体であったと思います。
しかし小惑星の中には、「活動的小惑星」と呼ばれるものが存在することがわかってきました。その中の代表的なものが直径8.5kmのフェートンです。このフェートンは、1.4年周期で細長い軌道を1周しており、太陽への最接近時は水星よりも内側を通ります。この際、表面は約750度まで達すると考えられており、何かしらの物質を放出しているのです。
■DESTINY+のフライバイ一発勝負に託された使命
DESTINY+は、このフェートンが何の物質を放出しているのかの謎に迫る探査機です。これを解明することで太陽系の歴史の理解をはじめとして、生命発生の謎にも迫ることができるかもしれません。DESTINY+は小型ロケットであるイプシロンSで打ち上げるため、探査機はより高効率、省エネでフェートンへ向かう必要があります。そのためDESTINY+は、はやぶさシリーズでお馴染みの電気推進「イオンエンジン」で加速を行います。
そして、DESTINY+がフェートンに接近するチャンスはなんとたった一度だけ。500kmの距離まで接近しますが、ブレーキをかけるのにも大きな推力が必要になるため、DESTINY+はわずか数分間のすれ違った後、そのまままた離れて行ってしまうのです。非常に緊張する数分間だと思いますが、太陽系の謎に迫る瞬間が楽しみですね。
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